1986 Fiscal Year Annual Research Report
胃腺の粘液とくにヘマトキシリン腸性粘液の比較形態学的・組織化学的研究
Project/Area Number |
61570017
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
金子 勝治 埼玉医大, 医学部, 教授 (10049801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 栄子 埼玉医科大学, 医学部, 実験助手 (40200290)
藤田 恵子 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (80173425)
穐田 真澄 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (60105905)
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Keywords | 胃腺 / 粘液 / ヘマトキシリン / 副細胞 / 中性粘液 / 酸性粘液 / 組織化学的研究 |
Research Abstract |
胃腺には粘液分泌を行なう細胞として、表層粘液細胞、副細胞、幽門腺および噴門腺の粘液細胞があるが、それぞれの細胞より分泌される粘液の異同については明らかではない。そこでMayerのhemalumを応用したヘマトキシリン染色を用いてヘマトキシリン陽性細胞のラット胃全体における分布について調べるとともに、副細胞の粘液の性状と副細胞以外の粘液細胞の粘液の性状について比較検討した。 ラット胃においてMayerのhemalumを応用したヘマトキシリン染色を行なうと、副細胞の粘液が染色された。しかしながら、ヘマトキシリン染色とアルシアン青の重染色によって、副細胞には中性粘液を含むヘマトキシリン陽性細胞と、アルシアン青陽性の酸性粘液を含む細胞がみられることがわかった。さらに、胃の各部位における副細胞の分布について、副細胞を染色するパラドックス染色の結果とあわせて比較検討すると、副細胞は大部分がヘマトキシリン陽性の中性粘液を含む細胞であったが、噴門腺に近い部位に酸性粘液を含む細胞が認められた。大弯側よりでは中性粘液を含む副細胞の上方に酸性粘液を含む副細胞がみられたが、小弯側では副細胞にこのような規則性はみられなかった。また、副細胞の粘液の性状と副細胞以外の粘液細胞の粘液の性状について比較した結果、パラドックス染色では噴門腺、幽門腺、十二指腸腺のいずれもが陽性であったが、ヘマトキシリン染色では十二指腸腺のみが陽性であった。しかしながら、ヘマトキシリン染色にさきだちneuraminidase消化を行なうと、噴門腺はヘマトキシリン陽性となった。また、染色にさきだち、酵素消化および化学的修飾法を行なった結果から、ヘマトキシリンの染色機構には水素結合が関与していることが推測された。
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