1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570028
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
川村 光毅 岡山大, 医学部, 教授 (40048286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 宏明 岡山大学, 医学部, 講師 (60033396)
柳原 衛 岡山大学, 医学部, 助手 (50127594)
小野 勝彦 岡山大学, 医学部, 助手 (30152523)
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Keywords | 脳組織の移植 / 小脳 / 延髄 / 登上線維 / シナプス形成 |
Research Abstract |
同種同系,同種異系,異種間動物で胎生延髄組織を成体齧歯類(マウス・ラット)の小脳内に移植した。時に、小脳原基を移植する実験も加えた。宿主動物の下小脳脚切断又は腹腔内3-アセチルピリジン投与により下オリーブ核をあらかじめ破壊し登上の線維を含めた小脳への求心性入力を一部遮断した。移植後一定期間生存せしめたのち、光顕および電顕的に観察した。 1.小脳組織を移植した場合 (1)宿主小脳組織内を移植片由来のプルキンエ細胞や顆粒細胞が移動する像や皮質3層形成像が観察された。 (2)電顕レベルでは移植片内に苔状線維軸策終末と顆粒細胞樹状突起終末から構成される小脳糸球および、プルキンエ細胞と平行線維との間に正常型のシナプスの形成が観察された。 2.延髄組識を移植した場合 (1)同種異系間移植例では、抗Thy-1.2抗体をマーカーとして用いた。免疫組織化学的に移植片由来の要素のみを標識することが可能となり移植片由来の神経組織が境界域を越えて宿主小脳組織(Thy-1.2陰性)内に侵入する像が観察された。 (2)同系および同種異型の移植実験例の宿主分子層を電顕的にみると、宿主プレキンエ細胞の樹状突起棘に対して、円形で小型のシナプス小胞を多数含んだ登上線維と思われる軸策終末がシナプス結合をしている像が可成り多く観察された。異種間移植の場合は免疫抑制剤を使用しても生着率が低く、グリアの増殖,瘢痕形成が著明であった。 3.現在、脳幹組織に特異的なモノクローン抗体を作製中である。この抗体を獲得することにより宿主と移植片間の細胞レベルの相互作用の問題を詳しく検討することが可能となる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 川村光毅: Ann.N.Y.Acad.Sciences. (1987)
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[Publications] 川村光毅: 日本医学会雑誌. (1987)
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[Publications] 鈴木満: 岩手医学誌. (1987)
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[Publications] 川村光毅: "小脳の神経学(小脳の基礎-解剖)" 医学書院, 325 (1986)