1986 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜のサポニン処理による高分子物質の細胞内注入法の検討
Project/Area Number |
61570045
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
長 琢朗 山口大, 医学部, 教授 (40038691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸田 啓示 山口大学, 医学部, 助手 (90173955)
小笠原 利保 山口大学, 医学部, 助手 (80116706)
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Keywords | 細胞膜高透過性 / EGTA / カルモデュリン / カリウム拘縮 / アデノシン三燐酸 / カルシウム非依存性収縮 |
Research Abstract |
1.高濃度EGTA処理による平滑筋細胞膜の透過性増大を利用した高分子の細胞内注入。 以下の実験はラット妊娠子宮縦走筋を用いて行った。細胞膜の透過性の増大(hyperpermealization)を行い、高分子物質を細胞内に注入する目的を以って、当初はサポニン処理を試みた。電気刺激による収縮応答を指標にして調べると、サポニン処理による方法では、細胞膜の回復が悪いことが見出された。そこで試料を20mM EGTA添加の弛緩液(細胞内液に似せた組成の液)に加え、数10分処理した後、再び正常クレブス液にもどすと、収縮応答が回復し、細胞膜が再構築される(sealing)ことが見出された。以上のhyper-permealization処理について、カルモデュリンを添加し、その前後に発生させたカリウム拘縮を比較すると、後者において収縮高が増大する。従って、高濃度のEGTA処理により、カルモデュリンが細胞内に流入し、またクレブス液によるsealingにより封入されることを示唆する実験結果が得られた。以上の実験結果の概要を昭和62年2月の生理学研究所での研究会で発表したが席上、カルモデュリン添加時にミオシン軽鎖キナーゼが燐酸化されるかどうかについて質疑がなされた。この点、生化学的手法により明らかにされるべき課題である。 購入した主要機器であるNFデータレコーダは収縮応答を記録し、可変的に再生して、時間経過等の計測に用いた。 2.子宮平滑筋のカルシウム非依存性収縮 弛緩液にアデノシン三燐酸を添加すると収縮が発生し、この収縮はカルモデュリン添加により増強されることが新たに見出された。このカルシウム非依存性収縮の発生機序の解明は、従来のカルシウム説と比較検討すべき課題である。
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