1986 Fiscal Year Annual Research Report
腎におけるエリスロポエチン(EPO)生成の調節機構について
Project/Area Number |
61570050
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
榎 泰義 奈良県医大, 医学部, 教授 (00075029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大賀 好美 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (70094539)
坂田 進 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (20142383)
上月 久治 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (20175326)
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Keywords | エリスロポエチン / 血漿 / 低圧 / ハイポキシア / 赤血球 / コロニー形成阻害因子 |
Research Abstract |
1.EPO測定法の吟味と改良 (1)血漿中コロニー形成阻害因子の除去:血漿中にはコロニー形成促進因子(EPo)の他に、阻害因子も共存する。したがって、我々の常用している赤血球系コロニー形成法によりEPo測定を行う場合、試料中に含まれる阻害因子の除去が必須の前提操作となる。今回、実験に用いるマウス,ラット血漿についても、すでにヒトでみたと同様に阻害因子の存在を確認した。また、その除去手段をいろいろ検討し、ヒト血漿でもっとも有効な酸-煮沸-クロロフォルム前処理よりは、クロロフォルム-透析処理がより効率的であることを知った。(2)測定法の特異性を高めるべく検討し:マウス胎仔肝細胞をFicoll-Paque処理して得る単核球を、ウェルあたり7500個用いた場合、最良の結果が得られることを明らかにした。 2.ハイポキシアと血漿EPoレベルとの定量的,時間的関連 ハイポキシア強度と血漿EPoレベルとの定量的関係、ハイポキシア負荷と血漿EPoレベル推移と時間的関連についての知見は現在なおきわめて不十分である。そこでまず、マウスの低圧瀑露実験による検討を行った。 (1)小動物用低圧室の自作とテスト:市販のアクリル樹脂製デシケーターとテフロン製ニードル・バルブを用いて低圧室を自作した。この低圧室で真空ポンプによる排気とニードル・バルブ操作により、マウス,ラットを安定した任意低圧状態に長期間(1週〜)容易に保持しえた。(2)低圧瀑露マウスにおける血漿EPo上昇:350Torr(6000m相当高度)の中等度低圧に急性瀑露し6h滞留させたマウスでは、平圧下の対照マウスに比し、血漿EPo値が約6〜8倍に上昇することを予備実験で明らかにした。またこの上昇の原因として、血漿濃縮の寄与はあるとしてもきわめて軽度であることを確認した。
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