1986 Fiscal Year Annual Research Report
延髄腹側の局所的血流遮断ならびに呼吸刺激因子の注入による中枢性化学受容野の解明
Project/Area Number |
61570053
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
名津井 悌次 帝京大, 医学部, 助教授 (80082098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑名 俊一 帝京大学, 医学部, 助手 (70129998)
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Keywords | 呼吸と中枢性化学受容野 / 外頸、脳底動脈の閉塞と吸息活動 / 前下小脳動脈への高【CO_2】血液注入と吸息活動 |
Research Abstract |
呼吸調節に関与する中枢性化学受容野の所在を明らかにすることを目的として動物(ネコ)実験を開始した。 1.脳幹上部への血流遮断と吸息活動: 前下小脳動脈のレベルよりも上部の脳底動脈と両側の外頸動脈を閉塞すると延髄よりも上部への血流を完全に遮断できることが明らかになった。 (1)血流遮断によって吸息活動は1分間以内に完全に消失する。但し、血流遮断による吸息活動の抑制効果は血流を遮断する直前の血液【P_(c02)】が高い程軽減する。 (2)外頸動脈で閉塞する部位よりも末梢(頭部側)の血圧を側定しこれを頭部の血圧の指標にした。血流を完全に遮断しなくてもここの血圧が約15mmHg以下になると吸息活動が完全に消失することが明らかになった。 一般に、延髄の呼吸機能に対して橋の機能は必ずしも必要でないと言われているが我々の結果は、血液の化学的呼吸刺激因子のレベルが低い程、延髄の機能はそれよりも上位の機能に依存する程度が大きくなることを意味している。これらの結果から、恐らく橋から延髄への呼吸促進経路のあることを示唆しているが今後この経路を明らかにしていく予定である。 2.高【CO_2】血液の局所的注入実験: (1)高【CO_2】血液を外頸動脈へ注入してもあるいは延髄よりも上位の脳底動脈に注入しても吸息活動は変化しないことが明らかになった。 (2)延髄では、後下小脳動脈への注入で吸息活動は増加するが、最も効果的なのは前下小脳動脈へ高【CO_2】血液を注入した場合であることが判った。 今後は前下小脳動脈の細枝へ高【CO_2】血液を注入して中枢性化学受容野を支配する最小限の血管を明らかにして行く予定である。
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Research Products
(1 results)