1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570057
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福島 菊郎 北海道大学, 医学部, 講師 (70091486)
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Keywords | カハル間質核 / 垂直性前庭動眼反射 / 前庭垂直半規管 / 前庭核 / サッケード運動 |
Research Abstract |
カハル間質核障害が垂直眼球運動と前庭核ニューロンの活動に及ぼす影響を調べるために、1.カハル間質核ニューロンがどのような信号を有するかを解析した。これは笑気麻酔ネコを用い頭部垂直回転刺激に対するニューロンの応答の位相とゲインを調べることによる行った。カハル間質核ニューロンは頭部回転加速度入力より位相が約140°遅れ、ゲインは0.15Hzで1.67±0.64spikes/s/deg/【S^2】を示した。比較のため正常ネコで同様な回転刺激に対する前庭核ニューロンの応答を調べると、位相は入力加速度より約90°遅れ、ゲインは2.07±0.78spikes/s/deg/【S^2】であり、カハル間質核ニューロンは前庭核ニューロンに比べ位相遅れ信号を有することがわかった。2.両側カハル間質核を障害したネコについて前庭核ニューロンから同様な頭部回転刺激に対する応答を調べると、位相は加速度より約60°遅れ、ゲインは1.27±0.68spikes/s/deg/【S^2】を示した。これはカハル間質核の障害が前庭核ニューロンの応答の位相の先行とゲインの低下を起こしたことを意味する。3.両側カハル間質核を障害したネコで垂直眼球運動を調べると垂直前庭動眼反射は位相遅れの減少を起こし自発性の垂直サッケードも位置の保持ができなくなった。両眼球運動の時定数は約2秒とほゞ同様な値を示し正常値(約20秒)より明らかに短縮した。このことはカハル間質核が両眼球運動系の積分機構の一部であることを示す。4.カハル間質核障害効果は電気凝固だけでなくプロカインも用いて可逆的に行った。前庭核ニューロンの応答の変化は垂直運動の変化より先に起り前者が後者の結果ではないことが示された。5.コンピュータを用い前庭核ニューロンの応答をカハル間質核からの入力の有無でシミュレーションすると、得られた値は実際の成績とよく一致しカハル間質核から前庭核へのフィードバック信号が垂直眼球運動の積分機構の一部に関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.FUKUSHIMA: Exp.Brain Res.64. 496-504 (1986)
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[Publications] K.FUKUSHIMA: Prog Neurobiol.
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[Publications] K.FUKUSHIMA: Brain Behav.Evol.
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[Publications] K.FUKUSHIMA: Exp.Brain Res.