1986 Fiscal Year Annual Research Report
中枢浸透圧受容機構の性ホルモンによる修飾に関する電気生理学的研究
Project/Area Number |
61570084
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
赤石 隆夫 新大, 医学部, 講師 (70018951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 康夫 新潟大学, 医学部, 助教授 (70094307)
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Keywords | 浸透圧受容器 / 室傍核 / エストロジェン / 視索前野 / アンジオテンシン |
Research Abstract |
先年度はin vitro実験系を用いて室傍核ニューロンへのエストロジェン(E2)の慢性的、急性的効果を対比検討したが、脳切片への急性的なE2の添加が室傍核(PVN)のニューロンの生体アミンやポリペプタイドにに対する感受性を変えることを明らかにした。このことは脳内に散在する浸透圧受容器からPVNニューロンへの情報量あるいは質にさえもE2が急性的に影響することを示唆する。この事実をふまえて現在まで実験を進行させてきたが、PVNニューロンの浸透圧感受性が発火パターンによって類別されるニューロン群によって異なり、さらにはE2がそれらの浸透圧感受性に変化を起こすことが明らかとなった。現在これらの成績に関する原著1編を投稿中であり、第63回日本生理学大会および第1回国際神経内分泌学会において発表した。これに関連し、浸透圧感受性を備え、さらにはE2を集積することが知られている視索前野(POA)に注目し、この部位の浸透圧調節における役割を探る為、in vitro実験系においてPOAニューロンに対する浸透圧刺激およびアンジオテンシン(A【II】)の影響について検索したところ、両刺激に応ずるニューロンが存在すること、in vivoにおいてPOAの電気刺激がPVN神経分泌細胞の活動に影響を与えその効果がE2処置によって変化を来すらしいことが明らかとなった。現在はin vivo系においてPOAへA【II】を与えPVN神経分泌細胞の活動の変化を調べているが、A【II】投与によりPVNに抑制性の影響が検出された。従来浸透圧受容域として考えられてきた脳弓下器官や第3脳室吻側部は浸透圧とA【II】の双方に感受性を持ち、PVN神経分泌細胞を賦活することが知られており、POAの浸透圧調節系における特殊性が推測される。今後POAへの高浸透圧刺激のPVNに対する影響や、それに対するE2の修飾についても検索する方針でいる。
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Research Products
(1 results)