1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570087
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
佐藤 春彦 名古屋市大, 医学部, 助教授 (20080004)
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Keywords | ガンマ運動ニューロン / 寒冷ふるえ / ふるえ上位中枢神経機構 / 温度感受性ニューロン / 中脳温度感受性 / 熱産生反応 / 体温調節機能 |
Research Abstract |
1.ウレタン麻酔ラツトの腰仙部脊髄前根を細分し、単一γ運動ニューロンからの自発放電活動を記録し、一定環境温下且つ一定直腸温下に、中脳局所温度変化に対する影響を調べた。γ運動ニューロン放電活動は、正常体温(37℃)以下への冷却により著明に促進し、正常体温以上へ加温により強く抑制された。全例(11例)において温度変化の方向に対するその動態は一致しており、負の温度係数をもつ冷感受型を示し、低温及び高温領域における温度感受性は、それぞれ、-1.05+0.22imp./sec/℃、-2.25+0.43imp./sec/℃であった。 2.下腿三頭筋筋紡錘第一種及び第二種終末からの筋伸張に対する応答を解析することにより、同様の中脳温度刺激によって活動化されるγ運動ニューロンが、dynamic γか或はstatic γかを調べた。筋伸張のpeak frequency,static frequency及び両者の差のdynamic Indexの頻度と共に中脳刺激温度、直腸温、環境温、その他の信号を多チャンネル記録計上に連続的に同時記録出来、その解析がより正確且つ能率的となった。中脳温度刺激の効果は、第一種終末においては、冷却により上記三つのparameterが共に増加すると云うdynamic γの活動化を示す温度応答が63%(27例/43例)に見られ、第二種終末においては、static γの活動化を示すものが29%(2例/7例)に見られた。これらの結果は、中脳冷却によってはdynamic γ及びstatic γ運動ニューロンが共に活動化されるが、前者の方が優勢に活動化されることを示している。 3.以上の結果のγ運動ニューロンが温度変化に極めて忠実に追従すると云う高い中脳温度感受性を有することは、脊髄γ運動ニューロン活動は中脳に存在する温度受容組織からの温度信号により強く影響されることを示しており、寒冷ふるえの中脳による強い統御作用の存在が明らかになった。
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