1986 Fiscal Year Annual Research Report
心筋イオンチャネルにおける自律神経相互作用の電気薬理学的研究
Project/Area Number |
61570089
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飯島 俊彦 東北大, 医学部, 助教授 (30004724)
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Keywords | 心筋 / 【Ca^(2+)】電流 / 【K^+】電流 / 自律神経相互作用 / カルバコール / ニコランジル / イソプロテレノール / ピナシジル |
Research Abstract |
アセチルコリンの心筋収縮力減弱作用には、細胞内CAMPと関係しない「直接作用」と、予めβ受容体刺激によって増加されたCAMPを減少させることによる「間接作用」がある。既に我々は、「直接作用」とはムスカリン様受容体を刺激することによって、Go蛋白質を介して【K^T】チャネル電流を増加することであることを報告した。本研究では、ムスカリン様受容体刺激薬のカルバコールとβ受容体刺激薬のイソプロテレノールの相互作用を、ムスカリン様受容体を介することなく【K^T】電流を増加するニコランジルの作用と比較検討した。イヌ心房筋標本では、カルバコールとニコランジルは静止膜電位を過分極させ活動電位持続時間を短縮させた。そこにイソプロテレノールを加えると、更に静止膜電位は過分極し活動電位持続時間も短縮した。しかし活動電位プラトー相はカルバコール存在下では短縮したが、ニコランジル存在下では有意に延長した。モルモット単離心房筋および心室筋細胞のパッチクランプでは、ニコランジルは【Ca^(2+)】電流を直接抑制することはなく、単離心室筋細胞ではイソプロテレノールによって予め増強されていた【Ca^(2+)】電流をカルバコールが抑制した。 以上の結果から、「間接作用」はβ受容体刺激によって増加したCAMPが【Ca^(2+)】電流を増加しているのを、カルバコールがそのCAMPの増加を抑制することによって【Ca^(2+)】電流を減少することによることが電気薬理学的に明らかになった。更に、カルバコール存在下にイソプロテレノールが【K^+】透過性を増加したことから、β受容体刺激によって活性化される時間非依存性【K^+】電流は組胞内CAMPに連関していない可能性が強く示唆された。今後、ニコランジル類以の作用機序が考えられているピナシジルも含めて、GTP結合蛋白質やイノシトール3隣酸との関連性に付いても、細胞内灌流法を用いて研究を進める計画である。
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[Publications] T.Iijima: Tohoku J.Exp.Med.150. 475-479 (1986)
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[Publications] T.Iijima: Japan.J.Pharmacol. (1987)
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[Publications] T.Iijima: J.Cardiovasc Pharmacol.
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[Publications] T.iijima: Eur.J.Pharmacol.
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[Publications] T.Iijima: J.Pharmacol.Exp.Ther.240. (1987)
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[Publications] 中村元臣,平則夫編,飯島俊彦: "【Ca^(++)】拮抗薬の心筋に対する電気生理学的作用「カルシウム拮抗薬」" 医薬ジャーナル社, 15 (1986)