1986 Fiscal Year Annual Research Report
ラット心筋細胞内に蓄積するカテコラミンの心筋細胞内作用の解明
Project/Area Number |
61570101
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
倉橋 和義 京大, 医学部, 講師 (10025653)
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Keywords | カテコラミン / 心筋細胞内蓄積 / 細胞内受容体 / 心室細動 / 【Ca^(2+)】括抗薬 / 【α_1】-遮断薬 |
Research Abstract |
先に私達は、摘出灌流ラット心臓を用い、心筋COMT阻害はカテコラミンの心筋内蓄積を増大することを報告してきた。本研究の目的は、心筋内に蓄積したカテコラミンの作用を明らかにすることにある。 灌流ラット心臓において、カテコラミンが外液濃度に比し、5〜6倍増大時、心室細動発生率が有意に高かった。このカテコラミン蓄積による心室細動に対する抗不整脈薬の影響を検討した結果、【Ca^(2+)】拮抗薬がカテコラミン蓄積抑制をともなって心室細動発生を抑制し、両者の間に正の相関があった。そこで、次に従来心臓におけるβ-受容体は細胞膜に局在していると信じられているが、心臓内に蓄積したカテコラミンが心筋内でβ-受容体を活性化する可能性について検討した。1群の灌流ラット心臓を一定濃度のカテコラミンにて灌流し、他の1群では、心筋内にカテコラミンが蓄積する条件下(COMT阻害下)に同濃度カテコラミン灌流時に、両者の心拍数を検討した。その結果、両群一定濃度のカテコラミンを灌流しているにもかかわらず後者の心筋カテコラミン蓄積増大群の方が前者に比し、心拍数は有意に大であった。また、後者の心筋カテコラミン蓄積増大群を同濃度カテコラミン灌流下、【uptake_2】阻害剤を添加すると、蓄積減少をともなって心拍数は減少した。すなわち、心筋細胞外のカテコラミン濃度が一定の時、カテコラミン蓄積が大であると心拍動数が大で、蓄積が小であると心拍動数も小であった。次に、α-刺激薬およびα-遮断薬の心筋内カテコラミン蓄積に対する影響を検討した結果、なかでも【α_1】-遮断薬が有意に蓄積を抑制した。 以上の結果より、ラット心筋細胞内にもカテコラミン作用部位が存在するであろうこと、およびその蓄積増大は心筋細胞内の代謝異常により不整脈を誘発するであろうことが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Sono: Naunyn Schmiedeberg´s Arch Pharmacol.334. 145-148 (1986)
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[Publications] T.Magaribuchii: Naunyn Schemiedeberg´s Arch Pharmacol.335. 123-128 (1987)
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[Publications] Y.Akimoto: Japan J.Pharmacol.40(Supp.). 238 (1986)
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[Publications] T.Magaribuchi: Japan.J.Pharmacol.40(Supp.). 98 (1986)