1986 Fiscal Year Annual Research Report
圧受容器反射の脳内機構に関する研究-γ-アミノ酪酸作動神経の役割について
Project/Area Number |
61570109
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
久保 孝夫 横浜市大, 医学部, 助教授 (10128598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木原 実 横浜市立大学, 医学部, 助手 (60177904)
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Keywords | ラット / 延髄腹外側 / 圧受容器反射 / γ-アミノ酪酸 / push-pull灌流 / 孤束核 / アミノ酸遊離 |
Research Abstract |
圧受容器反射脳内機構の検索を目的として、61年度は抑制性アミノ酸であるγ-アミノ酪酸(GABA)の延髄腹外側野血圧調節中枢における役割にについて検討を行なった。動物はラットを用い、アミノ酸は高速液体クロマトグラフィーと蛍光検出器の組み合せ法を用いて測定した。まず、push-pull灌流法を用いて延髄腹外側部昇圧野ならびに同尾側部降圧野の微小灌流を行ない、高濃度カリウム灌流により同部位へ脱分極刺激を与えると、カルシウム依存性にGABAが遊離することを見い出した。この結果は、GABAが両領域において伝達物質として機能していることを示しており、これらの領域のGABAが血圧調節に重要な役割をはたしていることを示唆した先の薬理学的研究にもとずく推論を裏ずけるものである。 調圧神経が第1次シナプスする孤束核からは同昇圧野へ圧受容器反射性線維が投射して同昇圧野の機能を調節している。そこで次に、孤束核からの本求心性線維の1部にGABAを伝達物質とする神経が存在するか否かについての検索を行なった。1側(右側)の孤束核を電気的に破壊し、孤束核から起始する神経線維が十分に変性をおこす2週間後に同昇圧野をパンチ法を用いて摘出し、内在性GABA含量を測定した。その結果、孤束核破壊処置群と対照群との間に有意の差がないことを観察した。この結果は、孤束核からの同昇圧野投射線維はGABAを伝達物質としないか、するとしてもその数はごく少ないであろうと示唆している。 今後、本昇圧野および降圧野におけるGABA機構に関して、孤束核およびその他の脳内血圧中枢との関わりについて詳細な検討を行なうと共に、これら両領域における興奮性アミノ酸であるグルタミン酸の役割についても検索を行なう予定である。
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