1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570118
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
吉田 匡 山形大, 医学部, 助教授 (10004673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 昭三 山形大学, 医学部, 教授 (70004554)
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Keywords | 蛋白質カルボキシメチル化反応 / O-メチレーション / チュブリン / 高分子量微小管結合蛋白質 |
Research Abstract |
蛋白質のカルボキシメチルトランスフェラーゼの生理機能については、今まで幾つかの説が提出されてきたが、現在でも瞹眛な点が多い。我々は本酵素の生理的役割を明確にするため今年度は主としてメチル基受容蛋白質の同定を試みた。本酵素は動物の脳などで活性が高いので、まず牛脳を材料にした。その結果次の知見を得た。(1)チュブリン及び高分子量微小管結合蛋白質が本酵素の良好な基質であること、(2)しかし、用いた基質蛋白質に比較してメチル化される蛋白質の分子数はかなり少なく、その割合はチュブリンで0.2%であり、高分子量微小管結合蛋白質で2%にしか過ぎないこと、(3)最近、本反応の生理機能が蛋白質の老化に伴って生じたアミノ酸の異常側鎖の修復にあるという説が有力になっているが、(2)で得られたこの低いstoichiometryはこの説を支持するものと思われる。次年度は脳の老化と本酵素反応との関連について、研究を進めたい。 細胞分裂という観点からは脳細胞とは対極にあると思われる癌細胞や胎児肝細胞を用いて、そのメチル基受容能を測定した。その結果、正常肝細胞や胎児肝細胞の細胞質には、メチル基受容蛋白質が殆ど検出されなかったのに反し、肝癌細胞(AH130)ではチュブリン及び高分子量微小管結合蛋白質が高度にメチル化されることが分かった。癌細胞に活発にメチル化される異常なチュブリンや高分子量微小管結合蛋白質が存在することは極めて興味深く、次年度はこの点についても検討する。
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