1986 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインホスファターゼの活性制御機構に関する研究
Project/Area Number |
61570125
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
武田 誠郎 広島大, 医学部, 教授 (40030853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
碓井 裕史 広島大学, 医学部, 講師 (40127618)
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Keywords | プロテインホスファターゼ / 蛋白質脱リン酸化酵素 / 蛋白質のリン酸化-脱リン酸化 / 代謝調節 / サブユニット構造 / 赤血球 / 酵素の活性調節 |
Research Abstract |
1.ヒト赤血球プロテインホスファターゼの多様性の解析(武田分担) ヒト新鮮血赤血球の可溶画分には共通の触媒サブユニットを持つ3種のプロテインホスファターゼ,【I】(分子量18万),【III】(分子量17.7万),【IV】(分子量10.4万)が存在することを明らかとした。【I】,【III】,【IV】の可溶画分におけるモル比は6:1:14であった。 2.【I】,【III】,【IV】の精製とそのサブユニット構造(碓井分担) 【I】,【III】,【IV】を均質に精製し、それぞれのサブユニット構造を【α_1】【β_1】【δ_1】,【α_1】【β_1】【γ_1】及び【α_1】【β_1】と決定した。各サブユニットの分子質量はαが34kDa,βが68kDa,γが54kDa,δが74kDaであった。 3.【I】,【III】,【IV】の性状(武田分担) 【I】,【III】,【IV】を80%エタノールで処理するといづれも34kDaのαサブユニットが回収された。【I】,【III】,【IV】及びαはいづれも広い基質特異性を持つが、各基質に対するkm及びVmax値は異なる。これらの酵素のホスホリラーゼに対する活性は阻害蛋白質2によって阻害されず、これらの酵素はホスホリラーゼキナーゼのαサブユニットの脱リン酸化を優先的に触媒することから2A型プロテインホスファターゼに分類された。【III】と【IV】のP-H2Bヒストンに対する活性は【Mg^(2+)】又は【Mn^(2+)】により活性化されるが、【I】及び【α_1】の活性は促進されない。 4.サブユニットの機能の解析(碓井分担) 【I】,【III】,【IV】及びαの種々の基質に対する分子活性を測定し、それらの比較から各サブユニットの機能を推定した。βはαのP-H2Bヒストン及びホスホリラーゼに対する活性を抑制するが、P-H1ヒストンに対する活性は促進する。γは【α_1】【β_1】のP-ヒストンに対する活性を促進するが、ホスホリラーゼに対する活性は抑制した。δは【α_1】【β_1】の全ての活性を抑制した。βはαに2価金属要求性を与えるがδはそれを打ち消した。
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[Publications] Teiji Imaoka: Journal of Biological Chemistry. 258. 1526-1535 (1983)
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[Publications] Hirofumi Usui: Journal of Biological Chemistry. 258. 10455-10463 (1983)
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[Publications] Nobuhisa Kinohara: Journal of Biochemistry. 95. 597-600 (1984)
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[Publications] Hirofumi Usui: Journal of Biological Chemistry. 262. (1987)
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[Publications] Masao Takeda: "Advances in Protein Phosphatases" Leuven University Press, 397 (1985)