1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570131
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
村上 安子 慈恵医大, 医学部, 講師 (30056709)
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Keywords | オルニチン脱炭酸酵素 / アンチザイム / アンチザイムインヒビター / ポリアミン / 蛋白質の分解 / 酵素の分解 |
Research Abstract |
1.蛋白分解系変異細胞におけるオルニチン脱炭酸酵素(ODC)の分解 ユビキチン依存性蛋白分解系に障害をもつ温度感受性マウス乳癌細胞ts85とカテプシンD等のリソゾーム酵素が著減しているI-cell病患者の繊維芽細胞におけるODC分解を検討した。両細胞いずれにもODC分解に異常は認められず、ODCの速い分解にはリソゾーム及びユビキチン依存性蛋白分解系は重要ではないと考えられた。2.アンチザイム(AZ)はPutrescine(Put),Spermidine(Spd),Spermine(Spm)の何れにより誘導されるか。細胞内の各ポリアミン濃度にfactorを乘じた和(HTC細胞では0.45〔put〕+〔spd〕+0.33〔spm〕)と、細胞内AZ量との間によい相関性が見出された。すなわち、誘導活性の差はあるが何れのポリアミンもAZを誘導することが示された。また、この値がある閾値を越えるとAZの誘導が開始されることが示された。3.アンチザイムインヒビター(AI)はODCの分解中間体か、あるいはODCの分解調節因子か?(1)AIの性質:AI-AZ複合体は塩により解離し、その際AI自身もサブユニットに解離する。AIはODCとAZの結合を非拮抗的に阻害する。AIはポリクローナル抗ODC抗体と反応するが反応性はODCの0.03%である。(2)イミュノアフィニティーによる組織抽出液中のAI,AZ,ODC,AI-AZ,ODC-AZの分別定量法を確立してAIの分布、細胞内局在ならびに生理的変動を検討した。AIは広く動物組織や培養細胞に検出されたが調べた範囲ではラット肝(可溶性分画)に最も多かった。ラット肝AIはAI-AZとして存在し、ODCの誘導刺激に応じてODCに先行して増加した。他方、この増加に対応してODC-AZの減少がみられた。AI-AZはODCに匹敵する速い代謝回転を示すが、ODCとは異りPutによりfeedback調節を受けない。以上の結果から、AIはODCの分解中間体ではなく、ODC誘導の初期にAZを不活化してODC分解を低下させ、ODC活性の増加を促進する役割りをもつ調節蛋白質である可能性が示唆された。
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