1986 Fiscal Year Annual Research Report
肺表面活性物質リン脂質とアポ蛋白の生合成機構,アッセンブリーおよび代謝調節
Project/Area Number |
61570145
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
秋野 豊明 札幌医大, 医学部, 教授 (80045377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水本 雅彦 札幌医科大学, 医学部, 助手 (60181913)
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Keywords | 肺表面活性物質 / アポ蛋白 / リン脂質結合蛋白質 / ジパルミトイル・レシチン / ホスファチジルグリセロール |
Research Abstract |
肺表面活性物質の約90%はジパルミトイル・レシチン,ホスファチジルグリセロール(PG)を主成分とするリン脂質であるが、その約10%は30-40KDa糖蛋白を中心とする蛋白質で、肺表面活性物質・「アポ蛋白」と呼ばれる。この特異蛋白質の性状を明らかとし、リン脂質とのアッセンブリーと活性発現に至る過程を解析するのが本研究の目的である。昭和61年度の研究計画はほぼ円滑に遂行された。新たに得られた知見は以下の通りである。 1.「アポ蛋白」の37KDa,34KDa糖蛋白質の局在が異なることを明らかにした。つまり37KDa蛋白は小胞体に、34KDa蛋白はラメラ封入体に局在する。mRNAから生成されるprimary蛋白は30KDaであり、小胞体でこれに糖鎖がN-グリコシド結合して37KDa蛋白となる。ついでラメラ封入体へ移送の過程で細胞内プロセッシングをうけ34KDa蛋白となって肺胞腔へ分泌される。小胞体で糖鎖結合後、特異リン脂質とアッセンブリーする機構の解析は今後の課題である。 2.ラメラ封入体の主たる「アポ蛋白」は34KDa糖蛋白であるが、この他に糖蛋白ではない34KDa蛋白(PIが異なる)が認められた。この蛋白質は小胞体にも認められ、肺表面活性物質関連蛋白の一つと考えられた。 3.有機溶媒抽出画分に、脂質とともに抽出される疎水性の極めて高い新たな「アポ蛋白」が分離された。還元条件下のSDS-PAGEで分子量は6,000、非還元条件下では14,000、20,000であった。この6KDa蛋白の肺胞【II】型細胞への局在性及び表面活性発現への関与を明らかとした。 4.周産期肺表面活性物質の動態をリン脂質分子種に着目して検索、酸性リン脂質のPGとホスファチジルイノシトール(PI)は異なったCDP-DGプールから肺表面活性物質画分へもたらされることを示し得た。
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[Publications] 秋野豊明,水本雅彦: 呼吸. 5. 1070-1084 (1986)
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[Publications] Kuroki,Y.;Dempo,K.;Akino,T.: Am.J.Pathology. 124. 25-33 (1986)
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[Publications] 水谷保幸,中島孝,森永正二郎,後藤政広,下里幸雄,秋野豊明,鈴木明: 140. 161-162 (1987)
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[Publications] 日本生化学会編 秋野豊明,黒木由夫: "続生化学実験講座3「膜脂質と血漿リポタンパク質(上)」、第15章 肺胞中のジパルミトイルホスファチジルコリンとホスファチジルグリセロール" 東京化学同人, 12 (1986)
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[Publications] 秋野豊明: "「臨床生理学シリーズ」第2巻 肺 (第1章Surfactantとその異常、1.肺の脂質代謝とSurfactaut)" (株)南江堂, (1987)