1986 Fiscal Year Annual Research Report
細胞増殖における糖・ヌクレオチド分解系の代謝相関とその異常
Project/Area Number |
61570146
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
吉野 昌孝 横浜市大, 医学部, 助教授 (70046077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名倉 宏 名古屋大学, 医学部病態制御研究施設, 教授 (90022821)
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Keywords | AMPデアミナーゼ / アデニンヌクレオチド分解 / ポリアミン / ポリアミン合成阻害剤 / アイソザイム / 解糖の阻害 / 筋エネルギー生成の異常 |
Research Abstract |
アデニンヌクレオチド分解と嫌気的解糖とは協同的に調節されている。この機構はAMP deaminaseで生成したアンモニアによる解糖の律速酵素Phosphofructokinase(PFK),Pyruvate kinase(PK)の活性化による。本研究ではエネルギー生成系としての解糖の調節の異常をAMP deaminaseとPFKの相互作用から解析した。(1)PFKは一価カチオン、Piによって活性化されるが、in situの細胞内【K^+】濃度条件ではAMPから生成する【NH(_4^+)】のみが強力にPFKを活性化した。(2)アデニンヌクレオチド分解と解糖の同調はラットを低酸素環境(6000m以上)においた場合にも発現し、血中乳酸・尿酸の著明な増加を認めた。(3)筋AMP deaminaseはmyosinに結合すると考えられていたが、酵素抗体法により主にミトコンドリア外膜の外側に結合していることが明らかとなり、本酵素が呼吸と解糖の切り換えの調節を行うという我々の考えを形態学的にも裏づけた。(4)細胞増殖期に増加するポリアミンは生体高分子合成を促進するが、AMP deaminase isozymeの肝型のみを活性化し、骨格筋型には殆ど作用を示さない。ポリアミンと本酵素の相互作用を解析し、両者の結合にはポリアミンの親水性の程度が重要な因子であることを認めた。一方ポリアミン合成阻害剤Methylglyoxal bis(guanylhydrazone)(MGBG)は骨格筋型のみを阻害し、肝型には作用しない。MGBGは抗ガン剤として有効であるが、副作用としての筋の代謝障害は筋脂肪酸酸化の阻害による好気的エネルギー生成の阻害に加えて、本研究で示した筋AMP deaminaseの阻害に由来する解糖の阻害、即ち嫌気的エネルギー生成系の抑制が重要な原因と推測される。MGBGによる脂肪酸酸化の阻害の結果増加したアシルCoAはAMP deaminaseの強力な阻害剤となり、解糖の阻害を増強する。肝ではMGBGはAMP deaminaseには直接作用しないが、ポリアミン濃度を下げることにより肝ヌクレオチド分解を抑制する可能性を示唆した。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] Yoshino,M.: Biomedical Research. 7. 113-117 (1986)
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[Publications] Yoshino,M.: Comparative Biochemistry and Physiology. 85A. 455-457 (1886)
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[Publications] Yoshino,M.: Biomedical Research. 7. 167-;72 (1986)
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[Publications] Yoshino,M.: Journal of Theoretical Biology. 123. 499-502 (1986)
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[Publications] Fujisawa,K.: Comparative Biochemistry and Physiology. 86B. 109-112 (1987)
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[Publications] Yoshino,M.: International Journal of Biochemistry. in press. (1987)
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[Publications] Yoshino,M.: Life Science Advances. (1987)
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[Publications] Yoshino,M.: Biochemical Pharmacology. (1987)
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[Publications] 吉野昌孝: 名大環研年報. 38. (1987)