1986 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト赤血球膜陰イオン透過機構及びその病態についての蛋白質化学的研究
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61570149
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
浜崎 直孝 福岡大, 医学部, 助教授 (00091265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 洋一 福岡大学, 医学部・生化学教室, 助手 (50152989)
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Keywords | 赤血球膜蛋白質 / Band3 / 陰イオン透過系 / 透過活性中心 / 膜貫通ペプチド / アミノ酸配列 / ピリドキサルリン酸アフィニティラベル |
Research Abstract |
赤血球膜陰イオン透過機構の透過機序について分子レベルでの解明を目的としてこの数年間研究をつづけている。現在までの各地の研究で陰イオン透過の媒介蛋白質はBand3と呼ばれる分子量約10万の膜貫通糖蛋白質であることが明らかになっている。我々はBand3内の38K-ドメイン内に透過活性中心が含まれていることを明らかにしている(J.B.C.258 5985及び15376(´83))。さらに、昨年度から、活性中心を構成している領域をさらに細分化して同定することを目的として研究を進めている。その結果、38K-ドメイン内の分子量約5300のペプチドを活性中心を構成する一部として、分離・精製することに成功し、現在、そのアミノ酸配列を決定しているところである。以下に、その詳細をのべる。 陰イオン透過系でそれ自身が透過され、しかもリジン選択的な化学修飾剤であるピリドキサルリン酸を用いてアフィニティラベルをし、その後、精製したBand3をCNB〜切断することにより、38K-ドメイン内の5.3Kダルトンペプチドが選択的に標識されることが判明した。このことから、5.3Kペプチドが陰イオン透過活性中心の少くとも一部を構成していることがいえる(J.Biochem.100 191(´86))。このペプチドを逆相及び分子節HPLCを用いて分離・精製し、そのアミノ酸配列を一部決定した。ヒト赤血球のBand3の全アミノ酸配列は決定されていないが、マウスBand3はC-DNAから推測されており、5.3K-ペプチドのアミノ酸配列はマウスのBand3C末端のアミノ酸配列と酷似していることが判明した。in situでBand3のC末端がどこにあるのか全く不明であったのだが、この研究でC末端領域が活性中心を構成していることが明らかになった。今後は、さらにアミノ酸配列を決定し、活性中心の全容をあきらかにしてゆきたい。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Matsuyama,H.;Kawano,Y.;Hamasaki,N.: J.Biochemistry. 99. 495-501 (1986)
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[Publications] Yonenaga,K.Todoroki,H.Tokunaga,K.;Hamasaki,N.: Transfusion. 26. 194-198 (1986)
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[Publications] Kawano,Y.Hamasaki,N.: J.Biochemistry. 100. 191-199 (1986)
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[Publications] Hamasaki,N.;Kawano,Y.;Inoue,H.: Biomed.Biochim.Acta. (1987)
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[Publications] Shiba,M.;Sasakawa,S.;Hamasaki,N.: Biomed.Biochim.Acta. (1987)
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[Publications] Hamasaki,N.;Kawano,Y.: Trends in Biochemical Sciences. (1987)
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[Publications] 米山良昌編集 濱崎直孝: "血色素の分子生理と分子病理" 共立出版, (1987)
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[Publications] 濱崎直孝,牧野志雄 編: "赤血球膜蛋白質の構造と機能" 宇宙堂八木書店, (1987)