1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570162
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
栄本 忠昭 福岡大, 医学部, 助教授 (60140779)
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Keywords | 胸腫腺 / 胸腺上皮 / 胸腺細胞 / 電子顕微鏡 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
胸腺腫14例と正常胸腺3例を用い、免疫組織学的ならびに電顕的に検索して、腫瘍細胞である上皮細胞およびその微小環境の解析を試みた。パライイン切片には通常の組織学的染色とPAP法で1ysozyme,【α_1】-antichymatrypsin,S-100,desmin,免疫グロブリンL鎖(κ,λ)を染めた。また凍結切片の得られた胸腺腫7例および正常胸腺は、PAP法またはABC法で、抗keratin,抗HLA-DR,OKT-11,OKT-6,OKT-3,OKT-4(Leu-3a+3b),OKT-8,B1,抗κ,抗λ抗体を用い染色した。電顕的観察は全例に行った。その結果、(1)組織学的に胸腺腫14例をリンパ球浸潤程度につきpredominant(LP型),moderate(LM型),scant(LS型)に分けると、LP型4例,LM型5例,LS型5例であった。(2)リンパ球浸潤とS-100陽性のinterdigitating reticulum cell(IDC)出現には逆相関が見られ、IDCはLP型全例とLM型1例で(-〜±)、他のLM,LS型9例では(-〜++)であった。なお対照胸腺ではIDCは髄質のみに認められた。(3)形質細胞は全体に少数だが、LS型の間質にやや目立った。(4)肥満細胞もLM,LS型に多い傾向が見られたが、貪食細胞は不規則な分布を示した。(5)凍結切片検索例で、リンパ球は大部分がT細胞(OKT-【11^+】,B【1^-】)であり、皮質性胸腺細胞(OKT-【6^+】,OKT-【4^+】 and OKT-【8^-】)がリンパ球の減少と共に相対的減少を示し、LS型では成熟T細胞(OKT-【6^-】,OKT-【3^+】,OKT-【4^+】 or OKT-【8^+】)が主体であった。(6)上皮細胞はLP型とLM型の一部でkerati【n^+】,HLA-D【R^+】だが、LM型の多くとLS型ではkerati【n^+】,HLA-D【R^-】であった。(7)電顕上、腫瘍細胞はLP型3例とLM型1例で皮質上皮細胞,LM型2例とLS型3例で髄質上皮細胞,LP型1例とLM型2例で混合型,LS型2例でHassall小体上皮細胞が主体であった。以上より、胸腺腫は皮質上皮,髄質上皮,Hassall小体のいずれかに分化を示し、リンパ球やIDCの出現もこれと関連していることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Eimoto,T.Teshima,K.;Shirakusa,T.;Takeshita,M.;Okamura,H.;Naito,H.;Mitsui.T.;Kikuchi.M.: Ultrastructural Pathology. 10. 157-173 (1986)