1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570162
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
栄本 忠昭 福岡大学, 医学部, 助教授 (60140779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 昌弘 福岡大学, 医学部, 教授 (80078774)
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Keywords | 重症筋無力症 / 胸腺 / 胸腺炎 / 免疫組織化学 / 二重免疫酵素染色 |
Research Abstract |
本年度はペルオキシダーゼ標識ABC(POXーABC)法とアルカリフォスファターゼ標識ABC(ALPーABC)法による二重免疫酵素染色(double immunoenzymatic labeling)で、昨年度に引き続き重症筋無力症胸腺の濾胞過形成例と非過形成例の更なる解析を試みた。使用したのは昨年度と同様症例のホルマリン固定・パラフィンブロック標本で、一部にアルコール固定標本も併用した。まずPOXーABC法で上皮細胞(抗ケラチン抗体、Kー903)、筋様細胞(抗デスミン抗体)、Tリンパ球(UCHLー1)、Bリンパ球(MXーpanB)、inter-digitating細網細胞[IDC](抗Sー100蛋白抗体)をカッコ内のモノクローナル抗体で染め、次いでALPーABC法で基底膜を抗IV型コラーゲンポリクローナル抗体により染めた。抗IV型コラーゲン抗体での染色には切片のペプシン処理が重要であるが、UCHLー1、MXーpanB、抗Sー100蛋白抗体を使用するには酵素処理は不可であり、POXーABC法での発色の後にペプシン処理を行うよう工夫した。また、抗デスミン抗体での染色にはヒアルウロニダーゼ処理を併用した。アルコール固定ブロックの切片についても軽度の酵素処理が必要であった。この二重酵素染色の結果、赤色の基底膜と褐色の細胞成分が同一切片上に染色され、各細胞成分が、胸腺実質内に在るかあるいは実質外、つまり血管周囲腔(PVS)に在るかの判定が容易となった。これにより過形成、非過形成の重症筋無力症胸腺につき、昨年度の単一酵素抗体法での結果を確認することができた。即ち、重症筋無力症の胸腺には、濾胞過形成の有無に関係なく、PVSの拡大、髄質上皮の圧排・延長、基底膜の断裂、筋様細胞の減少と分布の限局化、PVS中のTリンパ球増加、Bリンパ球・IDCの髄質上皮中およびPVS中へのび慢性侵潤を認めた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Eimoto,T.;Teshima,K.;Shirakusa,T.;Takeshita,M.;Okamura,H.;Naito,H.;Mitsui,T.;Kikuchi,M.: Ultrastructural Pathology. 10. 157-173 (1986)
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[Publications] 栄本忠昭: 病態生理. 7. 582-585 (1988)
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[Publications] 栄本忠昭,草野卓雄,安藤公英,白日高歩,川浪祥子,菊池昌弘: 日本病理学会会誌:第77回総会抄録号. 77,補冊. 50 (1988)
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[Publications] 栄本忠昭: "病理学" 朝倉書店,
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[Publications] 栄本忠昭: "わかりやすい病理学" 南江堂,