1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570164
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
増田 弘毅 秋大, 医学部, 助教授 (60103462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 公一 秋田大学, 医学部, 助手 (00091801)
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Keywords | ずり応力 / 血流量負荷 / 犬総頸動脈 / 動静脈吻合 / 内皮細胞増殖 / マイクロフイラメント / 内皮細胞基底膜 / 内弾性板 |
Research Abstract |
血流と血管壁は緊張した平衡関係を保っている。しかし動脈壁の構築が血流に対してどのような意義を持っているのかほとんど解明されていない。本研究の目的は動脈に血流量増大によるゆさぶりをかけ、ゆさぶられた動脈を経時的に形態学的に検討することにより動脈壁構築の動的意義を明らかにすることである。 (方法)30頭の成犬を使用した。 右総頸動脈と右外頸静脈間に内吻合を作成し右総頸動脈に血流量増大を惹起した。術後1週(急性実験)及び4週(亜急性実験)飼育後両側総頸動脈の血流量を測定後光顕及び電顕的に観察した。 (結果)血流量負荷が明らかな吻合側総頸動脈の特徴的な変化は次の如くであった。急性実験では内皮表面の乱れ(pin-ocytotic vesicleの減少、microvilliの出現)と内皮細胞核の腫大をみた。内皮細胞内microfilament束の増加をみたが、増加は血流量負荷の程度と比例していた。内皮細胞基底膜の肥厚と内皮下層の拡大がみられ、内弾性板最内腔側層に弾性線維の新生を併う乱れをみた。亜急性実験では内皮細胞の著しい密度の増加をみた。その数は約6300個/【mm^2】で対照側の約3300個/【mm^2】に比較して多く、また非手術犬総頸動脈の約1900個/【mm^2】に比較しても明らかであった。細胞は小型となっているが核のVolumeは対照とほとんど変らず、稀に核のmitosisをみた。内皮細胞の基底膜は著しい肥厚を示し内皮下層は拡大していた。内弾性板は縦方向の断裂の多層化を示し、中膜内腔側層の弾性線維の増加をみた。 (考察)ずり応力(血流量)負荷により内皮細胞の増殖をともなう明らかな変化をみたが、変化は内皮下層から中膜にまで及んでいた。これらの変化はずり応力dependentな血管壁の適応性変化の一部として理解された。今後慢性変化及び他の動物(ラット等)による吻合を利用した同様の研究を行いたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hirotake MASUDA: Acta Pathologica Japonica. 32. 1833-1842 (1986)
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[Publications] Hirotake MASUDA: Acta Patholigica Japonica. 33. (1987)
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[Publications] 増田弘毅: 日本バイオレオロジー学会誌. 1. (1987)