1986 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の増殖,分化,組織形成および病的変化に於けるコラーゲンの役割
Project/Area Number |
61570165
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松沢 昭雄 東大, 医科学研究所, 助教授 (50012745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 慎 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (70134624)
木村 幹男 東京大学, 医科学研究所, 助手 (90114462)
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Keywords | 【IV】型コラーゲン / マウス腎臓 / 自己免疫病 / 基底膜 / マウス初期発生 / コンパクション |
Research Abstract |
マウス腎臓から、従来の方法に比べて効率よく精製する方法を確立し約20mgのN型コラーゲンを得た。これを抗原としてウサギを免疫し、蛍光抗体法により糸球体,尿細管の基底膜を特異的に染色する抗血清を得た。その力価は64倍で、追加免疫によっても、これ以上力価を高めることができなかった。形態学的観察のために、免疫組織学への応用条件を確立した。アルコール・酢酸固定後に切片を作り、プロテアーゼ処理により基底膜が特異的に染色されることがわかった。染色の状態については、蛍光抗体法と差がみとめられなかった。この方法をマウスの正常眼球での【IV】型コラーゲンの分布の観察に応用し、レンズでは【IV】型コラーゲンがカプセル部分にのみ限局し、レンズの内部では検出されなかった。このことから、マウスの遺伝性白内障の発生では、【IV】型コラーゲンが重要な役割りを果たしているとは考えられない。自己免疫病で起る腎臓の病的変化に伴なう基底膜の変化を追求するため、(C57BL×DBA/2)【F_1】マウスにDBA/2の脾細胞を静脈内注射しGHVマウスを作成し、明らかなタンパク尿が起った時点で屠殺し、腎臓を取り出し、現在標本を作成中である。CBA/Keマウスで発生する遺伝性自己免疫病での腎臓も検索中である。マウス初期発生に於けるコラーゲンの役割について解明するために、マウス受精卵を試験管内で培養し、コラーゲン合成の特異的阻害剤であるヒドロキシプロリンを添加し、発生への影響を調べた結果、コンパクションが抑えられ、コラーゲンが重要であることが示唆された。マウス初期胚の形態学的観察法を確立したので、抗IV型コラーゲン抗体の応用をさらに進めている。マウス乳癌をモデルとして、癌の悪性化に伴なうコラーゲンの変化を追求し、組織学的レベルでは、癌の悪性化にともなって、それを構成している【IV】型コラーゲンの量が減少することを見出した。応用を広げるため、他の動物種にも研究を広げた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tsutomu Oikawa;Takao Iwaguchi;Mikio Kimura;Akio Matsuzawa: Chemical and Pharmacological Bulletin. 34. 789-797 (1987)
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[Publications] Akio Matsuzawa: International Review of Cytology. 103. 303-340 (1987)
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[Publications] Akio Matsuzawa;Tsuyoshi Hayakawa;Takao Iwaguchi;Shoji Takitani: Endocrinology. 119 Jun【e!~】. (1987)
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[Publications] Tsutomu Oikawa;Akio Matsuzawa;Takao Iwaguchi: British Journal of Medicine. 54. 91-96 (1987)
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[Publications] 松沢昭雄: 日本臨床. 44. 289-294 (1986)
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[Publications] 松沢昭雄,武田泰隆: 病態生理. 5. 482-484 (1986)