1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570168
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
挾間 章忠 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (40025549)
|
Keywords | 脳動脈瘤 / モデル動物 / 高血圧 / 血行動態 / 内皮細胞 / 中膜筋細胞 / 弾性線維 |
Research Abstract |
1.ラットに腎性高血圧を発症させ、一側の総頚動脈結紮により起こした前大脳動脈・嗅動脈分岐部の脳動脈瘤を透過電顕的に観察した。分岐部頂点よりやや遠位に内膜隆起があり、さらにその遠位に動脈瘤の初期変化が見られた。内膜隆起部および脳動脈瘤初期変化部では内皮細胞および中膜筋細胞にリソソーム由来の空胞が存在し、また間質に多数の小胞が観察された。また同時に、これらの部位に弾性線維の変性、消失が認められ、動脈瘤形成の原因的変化である弾性線維の変化は内皮および中膜筋細胞のリソソーム酵素の働きによるものであることが暗示された。 2.上記の動脈分岐部の酸性ホスファターゼ活性を組織化学的に検索し、動脈瘤初期変化部位の内皮細胞および中膜筋細胞に活性の亢進を認めた。このことは上記の電顕的所見と共に病変の成立にリソソーム酵素が関与している可能性を示すものである。 3.ラットの実験的脳動脈瘤の弾性線維の変化を、タンニン酸を用いる弾性線維染色により検索した。上記の内膜隆起部と動脈瘤初期変化部で内弾性板の変性、消失が観察された。 4.猿に腎性高血圧、頚動脈結紮およびベーターアミノプロヒオニトリル投与の3処置を加え、実験的に脳動脈瘤の作製に成功したが、この動脈瘤を起すのに、両側の腎動脈後枝を1週の間隔で結紮することが最も適した方法であることがわかった。また長期間、重症の高血圧を保つことが脳動脈瘤作製に最も大切であることが明らかとなった。 5.猿の脳動脈瘤を肉眼的、組織学的に観察し、人の脳動脈瘤に類似していることを明らかにした。また嚢状動脈瘤も、紡鐘型動脈瘤もともに血行動態ストレスおよび修飾因子による動脈壁の変性を基盤として起こることが明らかとなった。
|
-
[Publications] Knag,Y.;Hashimoto,N.;Kikuchi,H.;Yamazoe,N.;Hazama,F.: Submitted to J Neurosurgery.
-
[Publications] Hashimoto,N.;Kim,C.;Kojima,M.;Kang,Y.;Hazama,F.: J Neurosurgery. 67. 903-905 (1987)
-
[Publications] Kim,C.;Kikuchi,N.;Hashimoto,N.;Kojima,M.;Hazama,F.: Stroke. 19. 507-511 (1988)
-
[Publications] Kim,C.;Kikuchi,H.;Hashimoto,N.;Hazama,F.;Kataoka,H.: Acat Neurochirurugica.
-
[Publications] Kim,C.;Kikuchi,H.;Hashimoto,N.;Hazama,F.: Surg Neurol.
-
[Publications] Hashimoto,N.;Hazama,F.;Kojima,M.;Kim,C.;Yamada,E.;Handa,H.: "Animal model of cerebral aneurysms:On the origin of induced cerebral aneurysms in rats.In"Stroke and Microcirculation." Raven Press, 481-485 (1987)