1986 Fiscal Year Annual Research Report
新しい癌遺伝子受容細胞の確立と腫瘍特異抗原の解析への応用
Project/Area Number |
61570180
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 昇志 札幌医大, 医学部, 助手 (50158937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山田 正人 札幌医科大学, 医学部, 助手 (30183255)
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Keywords | 癌遺伝子 / 腫瘍抗原 / DNAトランスフェクション / 受容細胞 / WFB |
Research Abstract |
癌細胞のDNAを用いたトランスフェクションにより様々の癌遺伝子が明らかにされている。ヒト癌遺伝子の受容細胞としてはNIH 3T3が主として用いられているが、全腫瘍の8%は今のところNIH 3T3を用いてのトランスフェクションに成功していない。一方では、受容細胞をかえることにより、NIH 3T3では不成功に終った腫瘍DNAがこれらの細胞をトランスフォームすることをみており、受容細胞の選択がひとつの重要なファクターであると考えられている。我々はWKAラット胎児由来の細胞株WFBを確立していたが、これはagarでは全く細胞分裂を示さず、しかもEJ rasを用いたトランスフェクションではBALB 3T3等に比し、高い効率でトランスフォームされた。本研究ではこの細胞の受容細胞としての有用性を詳しく解析することが主たる目的であるが、さらにより高い効率で癌遺伝子を受け入れる細胞の確立も試み、また癌遺伝子の活性化における臓器特異性についても検討を行っている。以上の基礎実験をふまえ、さらに確実にトランスフォームされた細胞につき、その細胞表面の抗原性状を解析し宿主に認識される腫瘍抗原の本態と、それらの腫瘍免疫監視機構における意義を検討する予定である。本年度はWFBにEJ rasの他に、ポリオーマmiddle Tあるいはアデノウイルスに の数種類の DNA(EIA-EIB)fragmentをトランスフェクトし、WFBの新しい受容細胞としての有用性を検討している。現在迄のところポリオーマmiddle TについてはEJ rasと同様にBALB 3T3よりは約10倍の高い感受性を示している。またWFBのnon-transformantとしてのすぐれた形質に注目してWFBがトランスフォームすることによりはじめてその細胞表面上に発現される抗原分子を解析したところ、2つの異なる抗原を発見した。ひとつはトランスフォーマントに広く存在し、他のひとつはW31クローン特異的であった。これらの抗原の免疫生物学的意義を解析中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Sato,N.: J.N.C.I.74. 883-888 (1985)
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[Publications] Sato,N.: Cancer research. 46. 362-366 (1986)
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[Publications] Sato,T.: Cancer Research. 46. 4384-4389 (1986)
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[Publications] Sato,N.: Jpn.J.Cancer Res.(GANN). 77. 473-479 (1986)
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[Publications] Sato,N.: J.Nat.Cancer Inst.(1987)
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[Publications] Sato,N.: (1987)