1988 Fiscal Year Annual Research Report
新しい癌遺伝子受容細胞の確立と腫瘍特異抗原の解析への応用
Project/Area Number |
61570180
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 昇志 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (50158937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山田 正人 札幌医科大学, 医学部, 助手 (30183255)
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Keywords | 癌遺伝子 / 腫瘍抗原 / NK標的分子 / 熱ショック蛋白 |
Research Abstract |
ラット線維芽細胞WFBは正常細胞(non-transformant)としてすぐれた形質を備え、しかも癌遺伝子による形質転換に高い感受性を示した。このことはWFBを用いた腫瘍抗原、より正確にはtransformation-associated antigen(TAAS)の解析が可能であることを意味する。我々は単クローン抗体を開発することによりTAASを解析し、その結果、1)WFBのTAASは少なくとも4種類存在し、これらは86、62、101、67の分子量(Kd)を有する蛋白であった。このうち、86分子はPDGF刺激WFBにも発現し、形質転換とは直接関係なく、一方他の3つは形質転換とリンクしていることが推測された。2)86分子、62分子はnatural killer細胞のtarget structuresとして宿主の癌免疫監視機構において機能していることが示唆された。3)67分子はWFBのras形質転換細胞の約10%に限定発現し、しかもheat、superoxide等のstressで誘導可能であり、またCAMPでin-vitroで強く発現増強もみた。しかし、polyoma middle T DNA 移入によるWFB形質転換細胞、さらには母細胞WFBにはいかなる方法でも誘導不可能であり、いわゆるneo-antigen、tumor specific antigenとしての可能性を示唆した。 本研究は、腫瘍抗原を正常母細胞と、その癌遺伝子移入形質転換細胞とを厳密に比較することにより明らかにした。その結果、natural killer target structuresの発現、同定、および腫瘍抗原のあるものがheat shock-related proteinsであることを示した。しかし、後者について、例えばどのような機構で細胞表面に発現し得るのかについては現在のところ不明である。 今後、TAAsの構造とそのgenomic DNAを明らかにし、ヒトにおける同様な抗原分子を解析することにより、より効率的な癌分子免疫療法の確立を探りたい。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Sato,N.;Yagihashi,A;Okubo,M.;Torigoe,T.;Takahashi,S.;Sato,T.;Kikuchi,K.: Cancer Research. 47. 3147-3151 (1987)
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[Publications] Sato,T.;Sato,N.;Takahashi,S.;Okubo,M.,;Yagihashi,A.;Torigoe,T.;Takahashi,N.;Okazaki,M.;Asaishi,K.;Kikuchi,K.: Cancer Research. 48. 3892-3897 (1988)
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[Publications] Okubo,M.;Yagihashi,A.;Torigoe,T.;Konno,A.;Sato,N.;Kikuchi,K.: Jpn,J.Cancer Res.(GANN). 79. 850-856 (1988)
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[Publications] Sato,N.;Yagihashi,A.;Torigoe,T.;Okubo,M.;Konno,A.;Takahashi,N.;Yamashita,T.;Fujinaga,K.;Kuzumaki,N.;Kikuchi,K.: Cancer.Research. 48. 2798-2804 (1988)
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[Publications] Sato,N.;Kikuchi,K.: Gann Monogr.Cancer Res.34. 59-68 (1988)
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[Publications] Konno,A.;Sato,N.;Yagihashi,A.;Torigoe,T.;Torimoto,K.;Hara,I.;Wada,Y.;Okubo,M.;Takahashi,N.;Kikuchi,K.: Gancer Research.
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[Publications] 浜岡利之、橋本嘉幸: "癌と免疫" メジカルビュー社, 1-176 (1987)
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[Publications] 林秀男、山村雄一: "最新免疫研究法" 医学書院, 1-357 (1988)