1986 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧症と高コレステロール血症を併有するラットの系統の分離とその特性の解析
Project/Area Number |
61570184
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
鈴木 庸之 近大, 医学部, 教授 (90088534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筑後 孝章 近畿大学, 医学部, 助手
森田 信子 近畿大学, 医学部, 助手
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Keywords | M-SHRSP / SHC / 兄妹交配 / 高コレステロール血症 / 高血圧症 / ネフローゼ症候群 / 冠状動脈硬化 |
Research Abstract |
悪性脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(M-SHRSP)と高コレステロール血症ラット(SHC)およびその交雑子孫との種々の交配を行い、その中からTC【F_2】(M-SHRSPとSHCの交雑子孫2代目)のメスと、TC-【CF_1】(M-SHRSPとSHCの交雑子孫1代目にSHCを戻し交配してえた1代目)のオスとを交配し、以後、その子孫を血漿コレステロール値をパラメーターとして、兄妹交配により継代したところ、血漿コレステロール,血圧はともに、代を重ねるに從って高い値を示すようになり、血漿コレステロール値は【F_7】以後ほぼ同じように、生後20週には400mg/dlをこえるようになり、また血圧も【F_6】以後、生後15週に210mmHgをこえるようになり、高コレステロール血症と高血圧症の2つの性質がほぼ固まったものと考えられる。継代は現在【F_(15)】に達し、【F_(20)】の近交系の成立を待っている。 これらのラットの中で屠殺あるいは自然死したものについて剖検を行い、病理学的に検索したところ、腎臓,動脈および心臓に大きな変化がみられた。すなわち、腎臓は生後150日以後著しく腫大し、組織学的に尿細管が拡張して蛋白液が貯留していた。PAS染色の結果、糸球体毛細血管基底膜とメサンギウムの間の膨化がみとめられ、電顕的に基底膜の膨化肥厚と上皮細胞の腫大が認められ、ネフローゼ症候群に含まれる変化と考えられた。この変化に、さらに高血圧性の細動脈の変化が加わっていた。大動脈,腎動脈その他の動脈の中膜に石灰沈着がみられたが、これは高度の腎障害によるものと考えられた。心臓では、右冠状動脈の第1枝,第2枝を中心に、泡沫細胞の出現する動脈硬化性の内膜の肥厚,内腔の狭小化がみられ、泡沫細胞にはコレステロールと思われるSudan【III】陽性物質の沈着がみられた。この変化は【F_1】から【F_(10)】までのオス,メス443例の35%に認められ、冠状動脈硬化症モデル作成の可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)