1986 Fiscal Year Annual Research Report
ラット胸腺原基移植により発症するヌードマウスの多発性臓器局在性自己免疫病の解析
Project/Area Number |
61570187
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
田口 修 愛知がんセ, その他, その他 (00142167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 利忠 愛知県がんセンター, 研究所・免疫学部, 部長 (00124529)
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Keywords | 胸腺 / 臓器局在性自己免疫病 / ヌードマウス / 甲状腺炎 / 胃炎 / 唾液腺炎 / 卵巣炎 |
Research Abstract |
自己免疫病の発生原因の一つとして、胸腺上皮の機能不全が相定されるが、これまでこの仮説を直接的に支持する実験系はなかった。本申請者はこの仮説を実証すべく、免疫能のないBALB/cヌードマウスの腎被膜下にラットの胸腺原基(胎生15日)を移植することを試みた(TGヌード)ところ、その原基は上皮はラット、リンパ球はマウス由来のキメラ胸腺として、ほぼ正常の構築を保って発育し、ホストT細胞依存免疫能の回復をも認めたが、早期から多くの蔵器で多彩な蔵器局在生の自己免疫病が発生してくることを見いだした。今年度はこのTGヌードの特性として以下のことが明らかとなった。 1.TGヌードは一年以上生存し、ヒツジ赤血球に対する抗体産生能は正常マウスの約半分まで回復した。同系マウスおよび胸腺ドナーラットの皮膚移植片は完全に生着したが、第三者のそれはただちに拒絶した。 2.移植2ケ月後の胸腺内のL3T4,Lyt-1,Lyt-2,Thy-1.1,Thy-1.2の比率と分布は、正常BALB/cマウスのそれらとほぼ同様であった。 3.TGヌードの組織学的検索で、唾液腺,甲状腺,胃,副腎,卵巣,睾丸,前立腺等に、高度の組織損傷を伴う炎症反応を認めた。これらの病変は、胸腺原基移植後2ケ月ですでに高率に多発性にみられ、加齢とともに増悪した。 4.臓器病変をもつTGヌードの血中には、蛍光抗体間接法により臓器炎に対応する正常組織切片と特異的に反応する自家抗体(IgG)が検出された。 5.TGヌードに発症する病変は、末梢のTリンパ球を同系ヌードマウスに注射することにより高率に移入することができた。 以上の所見から、TGヌードに発症する多発性の病変は自己免疫病であると判断できる。今後の研究として、病変のトランスファーに有効なTリンパ球のサブセットの解析、病変の発症を予防あるいは治療できるサプレッサーTリンパ球の検索を主に行いたい。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 田口修: 164. 60-71 (1986)
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[Publications] 田口修: J.Exp.MED.165. 146-156 (1987)
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[Publications] 田口修: J.Exp.MED.165. 146-156 (1987)
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[Publications] 田口修: 医学のあゆみ. 140. 75 (1987)