1986 Fiscal Year Annual Research Report
単クローン抗体を用いたマレー糸状虫の感染防御に関する研究
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61570190
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 良博 東大, 医科学研究所, 助教授 (90092303)
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Keywords | Brugia malayi / 単クローン抗体 / 感染防御 / T細胞移入 / ミクロフィラリア / γ線照射 / マレー糸状虫 / BALB / C |
Research Abstract |
マレー糸状虫に対する感染防御を検討するために、無処理またはγ線照射弱毒化感染幼虫(【L_3】)、およびミクロフィラリア(mf)を抗原として免疫されたBALB/Cマウスの脾細胞と骨髄腫細胞を融合させ、各種の単クローン抗体(MAb)を作製した。これらのMAbの【L_3】およびmfに対する殺虫効果をin vitroとin vivoで検討した結果、以下の成績を得た。1)すでに腹水化された11種のMAbをマウスに移入し、【L_3】に対する殺虫効果を観察したが、現在までに有効なMAbは得られていない。(2)しかしこれらのMAbを移入したマウスにおいて2種のMAbに抗mf効果が認められた。(3)現在なお多数のMAbを作製しつつある。そこでこれらのMAbの抗フィラリア効果を効率的に検索するために、簡便なin vitro判定法の確立条件を検討している。一方、マレー糸状虫に対する感染防御の機構を明らかにするために、T細胞移入実験を行った。その結果γ線照射【L_3】免疫マウス脾細胞をナイロンウールに通過させて得られたT細胞移入によって、対照に比べ99.6%減少率を示す抗【L_3】効果が観察された。一方免疫血清移入によって、約約54%の有意な防御能が誘導された。これらの結果は、本研究で作製されるMAbによって、ある程度の抗【L_3】効果が示される可能性を示唆すると同時に、細胞性免疫を検討する必要がある事を示唆している。そこで次年度は、MAbの移入による抗【L_3】効果の検討とともに、これらのMAbで精製した抗原による能動免疫による感染防御を検討する予定である。上記の結果から、本研究で得られたMAbによる抗原精製のための、粗抗原の検討を行う必要が示唆されたので、比較的入手しやすいmf粗抗原による感染防御能をマウスモデルで検討した。その結果5×【10^5】mfの1回免疫によって、BALB/Cマウスで99%以上の防御が示された事から、MAbによる抗原精製に、mf粗抗原の利用が可能であると考えられた。
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