1986 Fiscal Year Annual Research Report
サルモネラのプラスミドと病原性及び薬剤耐性との関係
Project/Area Number |
61570204
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
堀内 三吉 医科歯科大, 医学部, 助手 (60014081)
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Keywords | Salmonella braenderup / Salmonella typhimurium / プラスミドと病原性 / サルモネラの病原性 |
Research Abstract |
目的:患者由来S.braenderup,38株,S.typhimurium,55株のプラスミド保有を調べたところ、前者は36株が110Kbプラスミドを、後者は17株が90Kbプラスミドを保有していた。これらのサルモネラのプラスミド保有株、非保有株を用いて病原性とプラスミドの関連性につき実験を行なった。 1.材料と方法:下痢症患者由来S.braenderup,S.typhimuriumのプラスミド保有株、非保有株をそれぞれ4株用いて、組織培養細胞感染実験、ウサギ結紮腸管ループ試験による毒素の検出、モルモットの眼によるSereny試験、およびマウスに対する病原性について調べた。 2.結果と考察:1)組織培養細胞感染実験;S.braenderupのプラスミド保有株、非保有株のHeLa細胞感染率はそれぞれ24-37%,6.2-28%であった。S.typhimuriumのHeLa細胞への感染率はプラスミド保有株で68-75%、非保有株で51-83%であった。プラスミドを除去した株のHeLa細胞への感染率も親株のそれと同じであった。 2)ウサギ結紮腸管ループ試験;S.braenderup,S.typhimuriumはアラスミドの有無にかかわらず0.5〜1.2ml/cmの液体貯留が認められた。培養上清ではいずれの場合も液体貯留が認められなかった。 3)Sereny試験;両菌種とも、プラスミドの有無にかかわらず、眼瞼発赤眼脂の分泌等の眼症状を呈したが、角結膜炎は発症しなかった。 以上の成績からは、S.brenderup,S.typhimuriumに検出されたそれぞれ90kb,110kbのプラスミドは、HeLaの細胞侵入性、ウサギ結紮腸管ループ内液体貯留、モルモットの眼への感染に対しては主要な役割を演じていないと考えられた。
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Research Products
(1 results)