1986 Fiscal Year Annual Research Report
百日咳菌のアデニレート・サイクレース遺伝子のクローニングと貧食細胞阻害活性の発現
Project/Area Number |
61570206
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今川 忠 阪大, 医学部, 助手 (10036478)
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Keywords | 百日咳菌 / アデニレート・サイクレース / 遺伝子のクローニング |
Research Abstract |
百日咳菌のAdenylate Cyclase(以下Acaseと略す)は、未知蛋白成分と結合し、ACase Complexになると、標的細胞に侵入し、短時間で細胞内cAMP レベルを異常に上げ、細胞の生理機能を阻害することにより、百日咳菌の病原因子の1つとして働く。最近、このACase ComplexはACase毒素あるいは細胞侵入性ACoseと称され、部分精製が試みられている。本研究は、このACase Complexを遺伝子レベルで解析し、その実体を明らかにすることを当初の目的とし、既に約3.9KbのACase遺伝子MoietyをpBR322ベクターに挿入して大腸菌中にクローニングした。しかし、この遺伝子は大腸菌中で極めて発現が弱いので、初年度は百日咳菌のACaseを高収量に発現する大腸菌の系を確立することに重点をおいた。 (1)まず挿入断片を部分分解して作成したサブクローンのACaseの発現を解析し、ほぼ挿入断片の中央部分にACase遺伝子が存在している事を確認した。(2)既に全塩基配列が決まっている大腸菌のACaseと百日咳菌の挿入断片を、それぞれプローブにしてサザーン・ハイブリによる解析の結果、百日咳菌と大腸菌各株のACase遺伝子は、互いにホモロジーが余りない事が推定された。 (3)挿入断片を異なる数種類の発現ベクターにつなぎ換え、大腸菌のACase欠失変異株中で発現を誘導し、Competition Immunoassay法でACase活性を定量したが検出できなかった。百日咳菌のACaseはカルモジュリンで数百倍に活性化されるので、次にカルモジュリン存在下に、ACase活性を定量する。 (4)現在は、挿入断片中にACase遺伝子のOpen Readirg Frameが存在する事を確認する事と、転写および翻訳の調節領域などを含む部位の塩基配列の改変などを通して、効率の良い発現系を確立するため、挿入断片から小断片を順次欠失させるキロシークェンス法で分離したサブクローンを用い;dideoxy法で塩基配列を決定しつつある。
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Research Products
(2 results)