1986 Fiscal Year Annual Research Report
HVJF∋糖蛋白アミノ末端アミノ酸配列に相当する合成ペプチドに対する抗体の性状
Project/Area Number |
61570228
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
村上 勇 神戸大, 医学部, 助教授 (60107951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 守男 神戸大学, 医学部, 教授 (10004566)
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Keywords | センダイウイルス(HVJ) / F糖蛋白 / 合成ペプチド抗血清 / 補体依存性中和反応 / 補体依存性溶血反応 |
Research Abstract |
1.HVJの【F_1】糖蛋白N末端アミノ酸配列に相当する、18ケのアミノ酸より成るペプチドを合成し、これに対するポリクロナルウサギ抗体を作製し、その性状を解析した。(1)シリカ吸着合成ペプチドをウサギに接種して、合成ペプチドを抗原としたELISAに陽性の血清を得た。(2)この血清は、HVJ(伏見株)粒子を抗原とした場合にもELISA陽性を示した。(3)しかしながら、HVJ粒子を免疫して得られたウサギ血清は、合成ペプチドを抗原としたELISAには反応しなかった。(4)以上の事から、合成ペプチドを免疫原として用いた場合、それに特異的に反応する抗体が作られる事がわかった。(5)上記ELISA陽性血清の赤血球凝集抑制価は低く、1:4程度であった。(6)蛍光抗体法による50%感染細胞数減少を指標として中和反応を行った結果、1:10程度の抗体価であった。(7)HVJの溶血阻止反応は陰性であった。(8)合成ペプチド抗体をウィルス粒子に結合した後、補体を添加すると、溶血能の著明な増加が得られた。(9)同様の補体処理により、中和反応も増強された。(10)ヒトの1型パラインフルエンザウイルスに対し、ウサギペプチド血清は低い乍ら中和活性を示したが、(11)麻疹ウイルスに対しては活性を示さなかった。 2.合成ペプチドに対するモノクロナル抗体作製の試み。合成ペプチドに、シリカ及びKeyhole linpet hemocyaninを結合させ、それぞれラット及びマウスを免疫し、モノクロナル抗体の作製を試みたが、現在まで成功していない。 3.今後の研究の展開。当初の計画は、本年度の研究によりほゞ達成した。中でも、【F_1】合成ペプチドに対する特異的抗体が得られた事は、大きな成果であった。此の事実は非常に重要なので再確認が絶対に必要である。今後はBSA結合合成ペプチドを用いて確認実験を行なう。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masae Itoh: Journal of General Virology.
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[Publications] Morio Homma: "Cleavage site mutant as a potential vaccine.In"Concepts in viral pathogenesis【II】"" Springer-Verlag,New York., 425 (1986)