1986 Fiscal Year Annual Research Report
日本脳炎ウイルスE糖蛋白上の感染防御抗原決定基部位の遺伝子構造とその発現
Project/Area Number |
61570233
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
保井 孝太郎 神経科学総研, その他, 研究員 (90073080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷲巣 真美 (財)東京都神経科学総合研究所, 微生物, 主事 (80158609)
宮本 道子 (財)東京都神経科学総合研究所, 微生物, 主事 (40190821)
木村 純子 (財)東京都神経科学総合研究所, 微生物, 主事 (20142151)
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Keywords | 日本脳炎ウイルス / E糖蛋白 / フラビウイルス / 感染防御抗原 / エピトープモノクローナル抗体 / 発現ベクター / アミノ酸配列 |
Research Abstract |
日本脳炎ウイルス遺伝子RNAに相補的なDNAを分子クローニングしその塩基配列を明らかにした。その結果をもとにE蛋白のアミノ酸配列を推定した。このアミノ酸配列をすでに報告されているものおよび投稿中の他のフラビウイルスE蛋白のそれと比較した。その結果デングウイルスや黄熱ウイルスとは45%程度の、より近縁のマレーバレー脳炎ウイルス、ウエストナイルウイルス、セントルイス脳炎ウイルスとは、80〜70%の高いhomologyがあることがわかった。さらに、システィン残基は全て一致しており、E蛋白の立体構造はフラビウイルス間では基本的には良く似ていることが示唆された。フラビウイルス間でアミノ酸配列が全く同じ部域が、3ケ所あった。これらの部域はやや疎水性の強い部分であった。このうちE蛋白N末端半分に存在するアミノ酸配列の同じ部域をはさんで、N末端側およびC末端側にはhomologyの比較的低い親水性の強い部分があり、この部分に日本脳炎ウイルス特異的な中和抗体に対するエピトープがあるものと考えられた。 一方、E蛋白をコードする遺伝子領域を、pPL入およびpUC系プラスミドに組み込みその発現をはかった。その結果、今までの我々の研究によって明らかとなった、10種類のエピトープに対するモノクローナル抗体と反応するnativeなE蛋白は、ほとんど産生されず、denatured formeのE蛋白が主に産生された。さらに、pGEM系ベクターにE蛋白遺伝子を組み込みmRNAを合成し、in vitro translation systemを用いてE蛋白を合成した。このsystemでも、現在のところ3中和エピトープに対するモノクローナル抗体と反応するnativeな形のE蛋白を、効率良く合成することができなかった。現在N末端にシグナル配列を含めた形のE蛋白遺伝子を、各種発現ベクターに組み込み、nativeな形のE蛋白の発現をはかっている。
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