1986 Fiscal Year Annual Research Report
新生仔マウス胸腺内に存在する自己Ia反応性T細胞特異的抑制性細胞の解析
Project/Area Number |
61570239
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
木本 雅夫 佐賀医大, 医学部, 教授 (40153225)
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Keywords | トランスジェニックマウス / 新生仔マウス胸腺細胞 / 同系混合リンパ球反応 / 新制性細胞 / 自己トレランス |
Research Abstract |
1.B6【E(^d_α)】トランスジェニックホモ接合体マウスの作製。以前に作製したC57BL/6(B6【E(^d_α)】)トランスジェニックマウス同士を交配させ【E^d】遺伝子に関してホモ接合体のマウスを作製した。ホモ接合体か否かは正常B6マウスと交配させ、その子孫について【E(^d_α)】分子が発現しているか否かを調べ、すべての子孫が【E(^d_α)】分子を発現していた場合、その親をホモ接合体とした。このような方法で2匹の【E(^d_α)】ホモ接合体マウスが作製された。しかしながら、トランスジェニックマウスの繁殖力はやや弱く、本年度はこのホモ接合体マウスを用いた実験は遂行できなかったため、以前より行なっていたB6とC3H/Heマウスを用いて実験を行なった。 2.正常新生仔胸腺細胞は、抗Ia抗体処理によるsMLR(同系混合リンパ球反応)の増強を抑制することが確認された。 3.しかしながら、新生仔胸腺細胞のアロ抗原反応性は、抑制されなかった。 4.また、成育マウスリンパ節細胞のアロ抗原反応性も抑制されなかった。すなわち、B10.anti-B10.BR(anti-I-【A^k】,anti-I-【E^k】)MLR,B10.BR anti-B6(anti-I-【A^b】)MLR,B10.A(4R)anti-B10.BR(anti-I-【E^k】)MLRに対して、正常新生仔マウス胸腺細胞は抑制効果を示さなかった。 5.さらにアロ抗原反応性T細胞クローンの増殖反応に対する抑制もみられなかった。すなわち抗I-【E^k】,抗I-【A^b】アロ抗原反応性T細胞クローンの増殖反応に、種々の数の新生仔マウス胸腺細胞を加えてもその増殖抑制は観察されなかった。 6.細胞融合法により、胸腺細胞ハイブリドーマを作成したが、現在のところ明らかな抑制活性を有するハイブリドーマは得られていない。結論として、新生仔マウス胸腺細胞中に存在する抑制性細胞は、胸腺細胞のsMLRのみを抑制する機能を有すると考えられる。T細胞が胸腺内において自己トレランスを獲得する過程において、この抑制細胞が重要な役割を演じていることが推測される。
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[Publications] Kimoto,M.: Eur.J.Immunol.16. 835-839 (1986)
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[Publications] Kimoto,M.: Microbiol.Immunol.30. 133-142 (1986)
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[Publications] Yamamura,K.: Nature. 316. 67-69 (1985)
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[Publications] 柏村信一郎: 医学のあゆみ. 別冊. 127-133 (1986)
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[Publications] 木本雅夫: 代謝. 23. 3-9 (1986)
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[Publications] 木本雅夫: 臨床免疫. 19(1). 29-34 (1987)