1986 Fiscal Year Annual Research Report
外来及び内部抗原特異キラーT細胞応答の寛容誘導と自己MHC拘束性発現の機構
Project/Area Number |
61570246
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石川 博通 慶応大, 医学部, 講師 (20051667)
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Keywords | キラーT細胞応答の調節 / 自己寛容の機序 / veto機構 / 抗腫瘍免疫 / 免疫応答遺伝子 / H-43アロ抗原 / T細胞抗原認識 |
Research Abstract |
1.マウスH-43アロ抗原系においてH-【43^b】マウスのH-【43^a】抗原に対するキラーT細胞(CTL)応答は、常に自己主組織適合抗原(MHC)内の【K^b】クラス【I】抗原に抱束されて惹起される。一方、この際にH-43のみが異るH-【43^a】リンパ球を免疫源とした場合は抗H-【43^a】CTLは惹起されず、逆に宿主H-【43^b】マウスの抗H-【43^a】CTL応答能のみを欠落させる安定なCTL寛容が誘導される。この寛容誘導の機序を追求した結果、これがveto機構によることを明確にし得た。すなわち抗H-【43^a】CTL前駆細胞がH-【43^a】リンパ球上の抗原を認識することにより、その機能が直接不活性化されることを確認した。さらにH-【43^D】【F_イ】マウスを応答マウスとして用い、veto機構を追求した結果、H-【43^a】リンパ球による寛容誘導能にはH-【43^a】リンパ球が【K^b】拘束分子を保持することが必須の条件であることが判った。これらの知見はCTL寛容誘導が自己クラス【I】抗原に抱束される事実を確証すると共に、種々の自己抗原や腫瘍特異抗原に対するCTL不応答性がveto機構によって誘導かつ保持されている可能性を示唆するものであり、抗腫瘍免疫の人為的成立、強化を目ざす際に重要と考えれる。 2.抗H-【43^a】CTLは常に自己【K^b】でのみ拘束されて惹起され、【K^b】以外の9種の自己クラス【I】抗原は拘束分子となり得ない。しかしながら、この知見はH-【43^b】応答マウスが常に【K^b】を保持する条件下で得られたものであり、従って【K^b】拘束性の抗H-【43^a】CTL応答が絶体優位である為にもたらされた可能性を否定出来ない。そこで【K^b】を持たないH-【43^b】C3W(H-【2^K】)マウスを樹立し、C3Wマウスやその他のH-【43^b】マウスとの【F_イ】をH-【43^b】応答マウスとして抗H-【43^a】CTL応答を検索した結果、【K^b】を保持しないH-【43^b】マウスは抗H-【43^a】CTL応答を惹起し得ないことが判明した。すなわち、【K^b】こそが唯一抗H-【43^a】CTL応答を可能にする免疫応答遺伝子であることが明らかにされた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] ISHIKAWA,Hiromichi: The Journal of Immunology. 137. 2080-2088 (1986)
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[Publications] KATO,Hidehito: Microbiology and Immunology. 30. 939-943 (1986)
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[Publications] ISHIKAWA,Hiromichi: Immunology Today. 7. 290-291 (1986)
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[Publications] ISHIKAWA,Hiromichi: Mouse News Letter. 75. 35-35 (1986)
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[Publications] ISHIKAWA,Hiromichi: The Journal of Immunology.
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[Publications] 石川博通: 免疫応答と遺伝子(MHC)Annual Review免疫1987. 13 (1987)