1986 Fiscal Year Annual Research Report
SLE 患者抗核抗体による遺伝子スクリーニング:抗原の分子生物学的研究と臨床応用
Project/Area Number |
61570250
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
島田 浩一郎 愛知がんセ, その他, その他 (40073126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 育巧 愛知県がんセンター, 研究所・分子生物学研究室, 室長 (50107059)
二階堂 敏雄 愛知県がんセンター, 研究所・分子生物学研究室, 研究員 (50180568)
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Keywords | 核タンパク質遺伝子 / SLE / 抗核抗体 |
Research Abstract |
全身性紅斑性エリテマトーデス(SLE)の患者血清中に生理学的に重要な生体物質(cyclin,topoisomerase,splicosomeの構成蛋白等)にたいする抗体が検出されその機能研究に利用されているが、患者血清は量的に限られ、monospecificでない。私達は未知の生理学的に重要と考えられる遺伝子を、SLE抗体を用いてクローニングすることに成功した。牛網膜由来の発現型cDNAライブラリーをSLE患者血清をプローブとしてスクリーニングし、抗体と反応するハイブリド蛋白を産生しているクローンを1個得、更にこれと相同な、全コーデイング領域を含む人胎盤由来のcDNAクローンも得た。塩基配列決定による解析から、タンパク質の全一次構造を推定した。又既に登録されているデータベースによる検索から、相同な配列は見いだされなかった。Southern解析の結果から単ーコピーの遺伝子で、哺乳類のみならず,酵母、シヨウジヨウバエにも相同な配列が検出された。従って、この遺伝子は系統発生的にも良く保存され、重要な機能を担っているものと推定される。SV40のT抗原などに見られる核内分布に関与する配列が見られるので、核タンパク質の遺伝子と予想された。上記の牛発現型cDNAクローンをもちいて大陽菌で作らせたタンパク質を精製し、ウサギで抗体を作成し、培養細胞を蛍光抗体法で染めた結果 細胞核が特異的に染色され、このタンパク質が予想通り、核内に存在することを明らかにした。そこで、このタンパク質を核抗原X(NA-X)と仮に命名した。以上、私達はSLE患者血清中に抗体が産生されている未知の、おそらく生理的重要と思われる核蛋白質にたいする遺伝子をクローニングすることができ、それに対応するタンパク質のmonospecific抗体を動物で作成することができた。現在 この単離された遺伝子と抗体を用いてその機能を明らかにすると共に多数の自己免疫疾患血清との反応性を調べ、診断への有用性を検討しつつある。
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