1986 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンB∋及びそのリン酸エステル類の生体内作用機序の解明
Project/Area Number |
61570254
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 美恵子 京大, 医学部, 助教授 (60025658)
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Keywords | ビタミン【B_1】 / ビタミン【B_1】リン酸エステル / 高速液体クロマトグラフ / 電気化学的酸化 / 定量法 / サイアミン一リン酸 |
Research Abstract |
ビタミン【B_1】とそのリン酸エステル類の生体内作用桟序の解明にあたっては先ず、これら極微量の生体内サイアミン(【B_1】),サイアミン一リン酸(TMP),サイアミン二リン酸(TPP),サイアミン三リン酸(TTP)を各々分離定量することが必要になる。しかし、これらの微量分離定量はこれまで困難であった。著者らは高速液体クロマトグラフを用い、これらビタミン【B_1】とそのリン酸エステル類を完全に分離した後、オンラインで化学反応によるポストカラム法を用いて、fmoleオーダーで定量することを可能にした。そして、本方法を用い、ヒト血液中には、従来、その存在が知られているTPPの他TTPが存在すること、又、ラットなどの動物種によっては、血清中に多量のTMPが存在することを明らかにした。これまで、その存在があまり知られていなかったTMPの生体内における役割を解明するため、ラットに【B_1】、TMP,TPPを腹腔内又は経口投与した後の血清中B1,TMP,TPP,TTPの動向、並びにラットの血液を用いた試験管内閉鎖系におけるin vitroの実験に【B_1】、TMP,TPPを添加し、種々の条件下で、【B_1】,TMP,TPP,TTPの変動を検討した結果、ラット血液ではTPPの生成にこれまで報告されている【B_1】を基質とする系だけでなくTMPを基質とする系の存在も示唆すると考えられる結果を得た。 一方、ビタミン【B_1】とそのリン酸エステル類の高感度定量法について、これまでの著者らの方法に更に検討を加え、高速液体クロマトグラフを用いて、【B_1】,TMP,TPP,TTPを分離後、これまでの化学反応による酸化チオクローム化に変えて、オンラインで電気化学検出器(クーロケム5100A型)を応用し、電気化学的に【B_1】,TMP,TPP,TTPを酸化、蛍光物質に変換、測定することを可能にした。現在、引き続き、本方法を用いた種々の生体試料中ビタミン【B_1】とそのリン酸エステル類の高性能・微量定量法の開発について検討中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kimura,Mieko: J.Chromatogr.332. 181-188 (1985)
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[Publications] 糸川嘉則: ビタミン. 60. 175 (1986)
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[Publications] 木村美惠子: ビタミン. 60. 322-323 (1986)