1986 Fiscal Year Annual Research Report
運動中のラットの呼吸,循環機能に及ぼす大気汚染物質の影響とその成因の解明
Project/Area Number |
61570282
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Research Institution | 国立公衆衛生院 |
Principal Investigator |
横山 栄二 公衆衛生院, その他, その他 (60077188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 巌雄 国立公衆衛生院, 労働衛生学部, 主任研究官 (20151897)
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Keywords | ラット / 運動 / 呼吸機能 / 循環機能 / 大気汚染物質 / オゾン |
Research Abstract |
ラットに、麻酔下で心電図記録用電極,ラット用携帯型心電図送信機を装着し、麻酔より覚醒せしめた後、無麻酔・非拘束下で、1ppmオゾンに3時間暴露し、心電図を経時的に記録した。オゾン暴露30-40分後より心拍数は低下して徐脈となり、同時に上室性不整脈,【II】°房室ブロック(Wenckebach型)が出現し、3時間後には、心拍数は開始時の約50-60%にまで減少した。 次に暴露チャンバー内にラット用回転型運動装置を入れ、ラットを一定速度(18-20m/分)で強制的に走行運動をさせながら、1ppmオゾンおよび対照群として室内空気に暴露した。ラットは10分間走行させた後に1分間休息するパターンを繰り返し、走行直後の各休息中心電図を記録した。室内空気暴露では、ラット心拍数は走行運動により増加し、休息中に減少する事を繰り返したが、オゾン暴露により、走行運動による心拍数の増加の度合いが抑制され、暴露1時間後では、運動しているにもかかわらず心拍数は運動前より減少した。 また、心電図では、運動を中断した直後から2-3秒間の間に、一過性心停止と見られる不整脈がオゾン暴露群の殆どのラットに認められたが、室内空気暴露ではこの様な不整脈は出現しなかった。 この傾向は、予め走行トレーニングを5週間行ったラットにも認められ、オゾン暴露による心拍数の増加の抑制は、トレーニングを行わなかったラットよりも、より早い時期から認められた。 以上の事実は、これまで全く知られていなかった事実であり、この結果をすぐにヒトに外挿する事は出来ないが、光化学スモッグの被害が、運動中のヒトに、より強く現れた事実の原因解明に示唆を与えるものと思われた。
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