1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570290
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
的場 梁次 阪大, 医学部, 助手 (20107056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤谷 登 大阪大学, 医学部・法医学, 助手 (10156888)
四方 一郎 大阪大学, 医学部・法医学, 教授 (10035371)
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Keywords | 覚醒剤 / 心筋病変 / カテコールアミン / 心筋症 |
Research Abstract |
5週令雄性マウスに種々の濃度(体重あたり5・10・20mg)のメタンフェタミン(以下MP)を毎日2週間及び4週間皮下投与し、心臓をはじめとする各臓器の光顕的観察及び心臓の電顕による観察を行った。同時に対照として同量の生理食塩水及びノルアドレナリンを体重あたり1mg投与して心病変を比較検討した。その結果、1.MP投与により、光顕で以下の様々な心病変が見られたーー心筋肥大,萎縮,融解,凝固壊死,収縮帯壊死,空胞変性,好酸性変性,錯走配列,出血,間質浮腫,軽微な線維化,小円形細胞浸潤,細動脈の中膜の肥厚等。2.これら心病変はヒト慢性覚醒剤中毒者に認められるものや肥大型心筋症のものと類似していた。3.MP投与期間及び投与量に基く心病変の差は以下の如くであった。(1)投与期間が2週間、4週間にかかわらず心病変は認められたが、全般に4週間投与の方が障害は強く、中でも空胞変性は4週間群に強かった。(2)投与量別でみると、投与量が多いほど心筋障害の程度は強かったが、肥大や錯走配列は5mg群で多く見られた。4.生食群では、若干の心病変は見られたが、MP群に比べるとずっと少なかった。5.ノルアドレナリン投与群では、MP群と類似した病変が認められたが、その程度はいずれのMP群よりも軽く、とくに空胞変性や錯走配列は少なかった。6.電顕による観察では、細胞膜の不整化,筋原線維の肥大,過収縮,錯走配列,幅の広いZ帯,ミトコンドリアの集簇や変性,巨大な或いは変形したミトコンドリアの出現などが認められたが、一番目立った変化は筋小胞体やT管系の拡張であった。また、特に細胞膜直下の多数の小胞体(Surface Vesicle)が認められ、中には細胞外への流出像(或いは流入)が認められた。このようなMP投与による種々の心病変の観察は、ヒト覚醒剤中毒の心病変がMPにて生じていることを示嗟し、またその病変が肥大型心筋症と類似していることは、興味深いと考えられる。
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