1987 Fiscal Year Annual Research Report
コンピューターシミュレーションによる頭部外傷の法医学的解析
Project/Area Number |
61570291
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤原 敏 神戸大学, 医学部, 講師 (20173487)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 易弘 神戸大学, 医学部, 助手 (30184956)
柳田 泰義雄 神戸大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (50031373)
溝井 泰彦 神戸大学, 医学部, 教授 (00030809)
|
Keywords | 脳挫傷 / コンピューターシミュレーション / 打撲 / 転倒 / 頭蓋内圧変動 / 衝撃加速度 |
Research Abstract |
(1)ヒト頭部のシミュレ-ション。頭部衝撃に関する実験的方法では、センサを埋め込んだ位置における加速度や圧力の測定は可能であるが、測定範囲を拡大することは容易ではない。任意の位置におけるそれらの情報を推定するための一つの方法として、頭部の数理モデルを用いたシミュレ-ションが考えられる。本研究では数理モデルとして、頭蓋骨及び脳実質それぞれに異なる材料定数を組み込んだ弾性力学的モデルを用いた。ところで、外力による弾性体の変形は、最小ポテンシャルエネルギの原理から、変形により弾性体内に蓄えられるひずみエネルギと変形に伴う外力の仕事との総和、即ち全ポテンシャルエネルギΠを境界条件に基づく制約の下で最小にするように実現される。つまりΠ_H(Ui,H)=A2EAv〔A_H(Ui,H)-F^iUi〕dv-A2EAs^6A2A9^iUids→min(u,v)となる。ここで、脳実質は組織液を多く含むため非圧縮性であり、頭蓋骨に囲まれた形状も単純な円形とは言いがたい。このような複雑な系を解くための方法として、有限要素法を採用した。有限要素法では、与えられた系をそれと等価な変分問題に変換することにより問題を解くものであり、材料定数の変化や形状の不規則性に容易に対応することができる。即ち、領域Sを有限個の節点からなる小領域に分割し、それに伴い前述の式を離散的な意味で最小化することにより、変位を近似的に求めることができる。〔Kvv(/)KvH^Kvv(/)KvH+^<Kvv>_<KvH^<Kviec>_<KH+>]{^u_<h>}+〔^<MC>_<OC>〕{^i_<h>}={R^(t)(1)O>}となり、実現される変位はこの式を解くことにより得られる。 (2)実際例における検討. 成傷器は, 打撲例では鉄及び木材がそれぞれ33.3%づつで, その他はビソ, 石, 植木ばち等であり, 転倒例ではコンクリート又はアスファルトが91.5%, その他はタイルや鉄であった. 頭部の打撃部位は, 打撲例では側頭部44.4%, 後頭部27.8%, 頭頂部16.7%, 前頭部11.1%であり, 転倒例では後頭部76.6%, 側頭部19.1%, 頭頂部4.3%であった.
|