1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570297
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
浅香 正博 北海道大学, 医学部, 講師 (10113507)
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Keywords | アルドラーゼアイソザイム / アルドラーゼA、B、C / ラジオインムノアッセイ / 腫瘍マーカー |
Research Abstract |
アルドラーゼルはA型、B型、C型の3種のアイソザイムの存在が知られている。A型は筋肉に、B型は肝に、C型は脳に主として含まれており、それぞれ免疫学的性質が異なっている。組織の癌化に伴ない、癌組織のアルドラーゼアイソザイムパターンは発生母組織に関わりなくA型が優位になることが知られている。私たちの開発したRIA法により、癌患者血清中60〜80%にA型の上昇が認められたが、早期の癌での陽性率は比較的低かった。今回A型の他、B型、C型においても固相法に基づくRIA法を確立し、組織、血清で検討したところB型は肝に多く含有されており、肝障害時、血清で高値を示す傾向がみられ、GOT,GPTと相関を示した。アルドラーゼBは肝以外にはほとんど含まれていないため、GOT,GPTよりさらに肝に特異的なアイソザイムであり、新しいタイプの肝機能検査法としての応用が期待される。癌患者血清のアルドラーゼBの低下する例が、癌のstageには無関係に50〜70%に認められ、新しいタイプの腫瘍マーカーとして臨床応用される可能性が示唆された。この現象の原因は未だ不明であるが、癌患者血清中にはアルドラーゼBを抑制する因子の存在は認められず、生体例の反応であることが推測されている。C型は脳および神経組織に多く含有されており、一部の癌組織にも見いだされている。癌患者血清の20〜30%にアルドラーゼCの上昇を認めたが、脳腫瘍(ブリオーマ)患者血清においてもほぼ同様の上昇率を示し特に脳腫瘍特異性は認られなかった。脳血管障害患者血清では、脳の障害の程度によって、陽性率が決定されることが示唆され、血清アルドラーゼCの測定により脳卒中の診断、経過観察に応用が期待される。これら3つのアイソザイムを同時測定することにより、Serological biopsyとして、種々の疾患の鑑別に応用可能と思われた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 浅香正博: 病態生理. 5. 63-65 (1986)
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[Publications] 浅香正博: 医学のあゆみ. 137. 387-388 (1986)
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[Publications] 浅香正博: 肝臓. 27. 989-990 (1986)
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[Publications] 浅香正博: 腫瘍マーカー研究会誌.
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[Publications] Masahiro ASAKA: Cancer Research.
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[Publications] Masahiro ASAKA: Annals of Neurology.
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[Publications] (ed)Tamotsu MIYAZAKI,Masahiro ASAKA: "Aldolase A levels in sera of patients with leukemiaーNew Aspects in Hematology" Kokoku print Co Ltd, 232 (1986)