1986 Fiscal Year Annual Research Report
褐色細胞腫,神経芽細胞腫の早期診断法(ニューロペプチドY測定の臨床応用への試み)
Project/Area Number |
61570298
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
毛利 虎一 東北大, 医学部, 助手 (80004688)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 治 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (00157744)
|
Keywords | Neuropeptide Y / Radioimmunoassay / 褐色細胞腫 / 神経芽細胞腫 / 臨床診断 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に沿って、1NPY測定の基礎的検討、2NPY測定の臨床的意義についての検討を行った。1については、ヒトNPYとウシthyroglobulinとをcarbodiimideで結合させ家兎に免疫することによって、構造の類似したPYYと交又しない特異性の高いNPY抗体の作製に成功し、本研究補助金で購入した第二抗体を用いた高感度のヒトNPYの測定法を完成させた。これまでに完成させたブタNPY抗体(ヒトNPYと100%交又)を用いたNPY測定法と共に正常者及び諸種疾患の血漿NPYや腫瘍組織中のNPYを測定した。NPYのアミノ酸配列はPYYと類似しているために、血漿や腫瘍組織から抽出された免疫活性NPYについてcolumn chromatographyや高速液体クロマトによる分析を必要とした。本研究補助金で購入した高速液体クロマト用のcolumnや充てん剤などをこの目的のために使用した。その成果は日本内分泌学会総会(昭和61年5月)及び日本内分泌学会秋期学術大会(昭和61年10月)で発表した。2については、正常者21例,本態性高血圧症20例、褐色細胞腫7例、神経芽腫群腫瘍13例、クッシング病5例、甲状腺機能亢進症12例、原発性アルドステロン症4例、その他の内分泌疾患9例、慢性腎機能不全8例及び血液透析患者10例の計109例について血漿NPYを測定しNPY測定の臨床的意義を検討した。褐色細胞腫と神経芽腫群腫瘍患者では血漿NPYは極めて高値を示した。また、慢性腎不全や血液透析患者も高値を示した。これらのことから、腎機能に注意して判定すればNPY測定はneural crest由来の腫瘍(褐色細胞腫、神経芽腫群腫瘍)の腫瘍マーカーの一つとして臨床診断に役立つものと考えられた。以上、本年度の研究目標は本年度の研究補助金によって100%達成することができた。
|