1986 Fiscal Year Annual Research Report
シェーグレン症侯群におけるB細胞活性化機構の解析(発癌機構解明の試み)
Project/Area Number |
61570305
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
宮坂 信之 東京女医大, その他, 助教授 (30157622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 興太郎 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所・細胞遺伝部門, 助教授 (40000971)
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Keywords | シェーグレン症候群 / B細胞 / ポリクローナル活性化 / 発癌 |
Research Abstract |
シェーグレン症候群(sjS)は顕著なポリクローナルなB細胞の活性化現象がみられる難治性の自己免疫疾患である。本研究においては本症におけるB細胞活性化の機構の解析を多角的に行った。 まず末梢血より比重遠心法によりリンパ球を分離し、10%FCS加RPMI1640に再浮遊した後、組織培養プレートに分注し、長期培養を行った。その結果、本症患者からのみ自律性に増殖する細胞株を高率に得ることができた。これらの細胞株はB細胞分化抗原を保有し、しかもEBウィルス核内抗原(EBNA)を発現しており、培養上清中にEBウイルスを産生していた。また咽頭うがい液を採取し、〓帯血リンパ球に摂取したところ、本症患者では正常対照(33%)に比較して高率に芽球化現象がみられた(86%)ことより、本症患者は高率にEBウイルスを口腔内に排泄していることが推測された。またEBウイルス関連血清抗体価を検討したところ、本症患者においてはVCA-IgGおよびVCA-IgM抗体価が有意に上昇していた。さらに両抗体価が同時に上昇している症例も多く散見され、これらの症例においてはEBウイルスの再活性化が疑われたが、これらの症例では血清IgG値も高値を示した。 以上の結果は、本症におけるポリクローナルなB細胞活性化現象にEBウイルスが強く関与していることを示唆するものと思われる。EBウイルスは発癌ウイルスとしても知られており、本症では高率にBリンパ腫がみられることより、SjSにおけるEBウイルスの病因論的意義に関してさらに研究を続行中である。
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[Publications] N.Miyasaka et al.: Clin.exp.Immunology. 65. 497-502 (1986)
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[Publications] T.Yamada;N.Miyasaka: Lnt.J.Immunotheragy. 2. 199-208 (1986)
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[Publications] N.Miyasaka et al.: Scand.J.Rheumatol.In press.
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[Publications] K.Sato;N.Miyasaka.et al.: Arthritis & Rheum.
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[Publications] 山岡國士,宮坂信之 他: 日本臨床免疫学会誌.
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[Publications] 佐藤和人,宮坂信之 他: 臨床免疫.
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[Publications] 宮坂信之: "自己免疫疾患" 中外医学社, 158 (1985)