1986 Fiscal Year Annual Research Report
慢性糸球体腎炎の細胞生物学的制御-血小板および糸球体細胞内情報伝達物質の解明-
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61570309
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 芳廣 阪大, 医学部, 助手 (60135473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
申 性孝 大阪大学, 医学部・第一内科, 医員
折田 義正 大阪大学, 医学部・第一内科, 講師 (70028398)
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Keywords | HPLC / イノシトール-1,4,5-トリホスフェイト / メサンギウム細胞 / アンジオテンシン【II】 / ホスホイノシチド・サイクル |
Research Abstract |
1.イノシトールリン酸分析の為の高速液体クロマトグラフィーの開発細胞内【Ca^(2+)】遊離作用を有する重要な細胞内メッセンジャーであるイノシトール-1,4,5-トリスホスフェイト(I【P_3】)の分離、定量をより精密かつ容易に行う為、新たに高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムを開発した。分析カラムとしては、陰イオン交換カラム(TSK-GEL,DEAE-2SW)を、移動相としてリン酸ナトリウムを、検出器として示差屈折計を用いた。本HPLCにおけるイノシトールリン酸分析時間の決定の為、標準物質として、アマルシャム社製イノシトール-1-モノホスフェイト(I【P_1】)、イノシトール-1,4-ビスホスフェイト(I【P_2】)およびI【P_3】を用いた。その結果、本HPLCにより、各種イノシトールリン酸化合物を明確に分離しえ、その分析が短時間(15分以内)かつ簡便に行いうることが明らかとなった。 2.ラット培養メサンギウム細胞におけるイノシトールリン酸代謝に対するアンジオテンシン【II】の影響 メサンギウム(M)細胞におけるアンジオテンシン【II】(A【II】)の細胞内情報伝達機構を解明する為、雄性SDラットより腎糸球体培養によりえられた培養M細胞を材料として、A【II】添加時のイノシトールリン酸代謝の変動を、今回開発したHPLCにより検討した。実験には、継代2代目の培養M細胞を、[【3^H】]イノシトールで48時間前標識して用いた。結果は、(1)A【II】添加によりI【P_3】およびI【P_2】は15秒以内に、I【P_1】は30秒以内に増加した。(2)この増加は、A【II】に対し濃度依存性を示した。(3)このA【II】の効果は、A【II】の受容体培抗薬であるサララシンにより完全に抑制された。以上より、A【II】の細胞内情報伝達機構に、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェイトのホスホリパーゼCによる分解に始まるホスホイノシチド・サイクルの亢進が関与することが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Satoshi Ochi: Biochim.Biophys.Acta. 927. 100-105 (1987)
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[Publications] SungHyo Shin: Biochem.Bicphys.Res.Commun.142. 70-77 (1987)
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[Publications] Yoshimasa Orita Edited by F.Shimizu;I.Kihara;T.Oite: "Cell Proliferation and Glomerulonephritis" Nishimura Co.,Ltd.Niigata, 174 (1986)