1988 Fiscal Year Annual Research Report
腎での甲状腺ホルモンT_4からT_3への交換における蛋白リン酸化とその生理的意義
Project/Area Number |
61570316
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
浅野 泰 自治医科大学, 医学部, 教授 (00050500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 直樹 自治医科大学, 医学部, 助手 (80182137)
田部井 薫 自治医科大学, 医学部, 講師 (90155234)
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Keywords | 甲状腺ホルモン / 近位尿細管リン輸送 / 蛋白リン酸化 / 近位尿細管カリウム輸送 / ナトリウム依存性リン輸送 |
Research Abstract |
(1)PTHを用いた細胞内蛋白リン酸化の検討において、前年度までに、ウサギ近位尿細管サイトゾール分画にある48kd蛋白の脱リン酸化と尿細管刷子縁分画にある63kd蛋白のリン酸化を認め、同様の現象をC-AMP投与でも認めた。同じ現象がT_4投与により得られるかをさらに検討したが、これら蛋白に対する特異的影響は確認されず、従ってT_4による尿細管リン輸送刺激作用はPTHによる特異的リン輸送とは異なる機序によるものと思われた。 (2)T_4からT_3への交換が近位尿細管でのリン輸送に対し重要なステップであるかを検討する目的で、前年度までに甲状腺摘出ラットにT┣D24、T┣D23┫D2、また5′-DIの特異的阻害剤であるIOP、IPDを投与して検討したところ、近位尿細管リン輸送は共に客量依存性に特異的に増加することを認めた。今回は、プロリン輸送への影響と、血中freeT┣D23┫D2レベルの変化とをさらに検討し、サイロイドホルモンの近位尿細管リン輸送への影響は、必ずしもT┣D24┫D2からT┣D23┫D2への変換を必要としないとの結論を得た。 (3)甲状腺ホルモンの腎尿細管での電解質輸送作用は、直接単離尿細管を用いて検討することが重要と思われる。すでに前年度よりウサギ単離尿細管におけるP^<32>の輸送実験を開始したが、P^<32>はガラス器具に付着するため、信頼できる結果は得られなかった。一方、最近われわれは近位尿細管でのK輸送の検討において、当初K再吸収を予想したにもかかわらず、同部位でのK分泌の存在を示唆する結果を得た。そこでT_3投与ウサギ近位尿細管を用い、このK分泌機序への影響を検討した。その結果、non-pairedでは、K分泌抑制がみられ、T_3のNaK-ATPase刺激作用を示す結果から得られた。しかし、水の再吸収抑制も見られた点は矛盾する結果であり、今後さらにpairedで実験する必要性が考えられた。
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Research Products
(2 results)