1986 Fiscal Year Annual Research Report
ホルモン及び内因性増殖因子の肝再生に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
61570337
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福田 善弘 京大, 医学部, 助手 (50127130)
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Keywords | 肝再生 / Oncogene / C-fos / C-myc / Estrogen Receptor / Vitamin D Receptor / EGF Receptor |
Research Abstract |
われわれはラット部分肝切除後の肝再生の系において、1Oncogene(C-onc)の経時的変化、2Estrogen(E)、Vitamin【D_3】(VD)、Epidermal growth factor(EGF)に対するReceptor(R)の動態、3E、VD、EGF投与による肝再生、C-oncに及ぼす影響について研究をすすめている。 (1)肝切除後fosは早期の30分より上昇傾向がみられ、45分にpeakを認め、60分後には前値に復した。mycの発現も早期より上昇し、特に3時間後に、peakを認め、6時間後にはほぼ前値に復した。Ha-rasは早期に若干の変動をみたが、12時間後に明らかな増加を示した。これらC-oncが順々よく一過性に出現したことは、肝再生に際して細胞増殖などそれぞれの機能が関与しているものと思われる。特にmycについては種々の癌での発現増加が報告されているが、肝再生では一定の制御を受けている点で興味深い。 (2)肝切除後血中Estradiol(【E_2】)は上昇し、3時間後にpeakになり、その後下降し、24時間後にほぼ前値にまで低下した。一方肝細胞質ERは低下し、血中【E_2】のpeakに一致して3時間後に最低となった。肝切除直後に【E_2】5mg皮下投与した群ではERはすでに1時間後に最低となり、その後も比較的長時間低値が持続した。肝DNA合成にはE2投与により肝切除単独群より高まる傾向が得られたが有意差なく、肝重量さらには1週後の肝再生率には影響を及ぼさなかった。すなわち肝再生過程でERが何らかの役割を演じている可能性はあるが、外因性のE2により再生が促進されるという成績は得られなかった。 (3)現在ヒト培養肝癌細胞ならびに外科的に採取した原発性肝癌、転移性肝癌についてVD-Rを検出しており、またEGFについてもヒト培養肝癌細胞でEGFの産出、ならびにEGF-Rの存在を確認しており、肝再生の系でも検討しえる態勢を整えている。
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[Publications] 小東克次: 肝臓. 28. (1987)
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[Publications] 姫野泰雄: 肝臓. 27. 525 (1986)
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[Publications] 長谷寛二: 日本消化器病学会雑誌. 84. 128 (1987)
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[Publications] 境祐二: 肝臓. 28. (1987)