1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570342
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
浮田 實 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (70151842)
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Keywords | 脳性脳症 / アンモニア代謝 / グルタミン / グルタミン酸 / グリア細胞 / 重窒素 / GC / MS / 臓器相関 |
Research Abstract |
1.前年度から引き続き行って来た門脈・下大静脈吻合犬(以下P-C犬)を用いたin vivo実験の成果は以下の如く要約される(文献1). 即ち^<15>N標識塩化アンモニウムを経静脈的に負荷し, α-アミノ窒素への取り込み動態を昏睡時のグルタミン/グルタミン酸比で計算すると, 正常犬では5.8であったが, P-C犬では1.8であった. このことはP-C犬においてアストログリアでのグルタミン合成が制限をうけていることを示唆していおり, 現在までに同様の成績の報告は見られておらず, 極めて貴重な成績と評価され, Advance in Amnonia Metabolizm and Hepatic Eneephalopathyに収載された(昭和63年3月に出版予定) 2.上記の成績をもとにin vitro実験を行うために質量分析法によるα-アミノならびにアミド窒素の同時精密分析法を改良し報告した(文献2). この成果により培養グリア細胞でのグルタミン, グルタミン酸代謝の動的研究が可能となった. 3.脳症発現に関連して, 肝でのアンモニア代謝が障害され制限を受けた時に肝外組織でのアンモニア解毒がどのように代償されるかを明らかとする実験を行った. その結果は文献3に詳しいが要約すると, 劇症肝炎モデルラット(D-ガラクトサミン肝障害)では過剰のアンモニアは2相性に尿素合成されることが明らかとなった. 同時に測定したグルタミンーアミド窒素への15Nの取り込みの成績を考え合わせると, 肝不全時には, 過剰の血中アンモニアは一旦肝外のグルタミンプールに中間解毒され, 約30分後より徐々に尿素サイクルへ最終解毒されることを示唆する極めて興味ある病態を示すものと考えられる. 次年度は上記の成績をもとに, より直接的な証明を目ざして培養グリア細胞を用いてアンモニア解毒と脳症発現の動的研究を行い治療法の開発に結びつく成果を期待し得る実験を集約する.
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[Publications] M. Ukida;H. Morishita;Y. Morimoto;H. Usui;H. Nagashima: Aduances in ammonia metabolism and hepatic encephalopathy. (1988)
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[Publications] H. Morishita;M. Ukida;Y. Morimoto;H. Usui;T. Tsuji: Proc. Jap. Soc. Med. Mass Spectrom.12. 157-160 (1987)
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[Publications] Y. Morimoto;M. Ukida;T. Tsuji: Gastroenterol. Jpn.(1988)