1986 Fiscal Year Annual Research Report
胃腸疾患における脳消化器管ペプチドの免疫細胞化学的研究
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61570343
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岸本 真也 広島大, 医学部, 講師 (60093746)
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Keywords | 神経ペプチド / 消化壁分布 / 神経細胞 / 筋間神経叢 / 粘膜下神経叢 / 炎症性腸疾患 / 巨大結腸症 / 虚血性腸炎 |
Research Abstract |
1.ヒトでの研究(1)消化管壁には筋間および粘膜下神経叢にVIP,ガラニン,NPYが存在し、前二者は細胞体かアクソンを出して平滑筋細胞,上皮細胞に終末する。これらは副交感神経と共存するが、NPYは交感神経と共存する。(2)巨大結腸症の切除結腸の患部には神経細胞の欠如とともにVIP神経も欠如し、これが便秘の発現と密接に関係し、逆にその過多は過敏性腸症候群(下痢型)の結腸壁に観察されるが、これが分泌型の下痢の発現機序に関与する。これらのことは炎症性腸疾患の病態(下痢と腸管の狭窄-便秘)発現に際しても観察され、その発現機序にこれらのペプチドの関与することが判明した。(3)胃壁にはGRP,VIP,エンケファリンが存在し、胃の分泌,運動にこれらのペプチドの関与することが分かる。 2.試獣での研究(1)ラット,モルモットの消化管壁には上述のペプチドがヒトと類似して神経叢に分布する。ハムスターの消化管壁の神経叢にはガラニンが豊富に分布する。(2)ラットの先天性巨大結腸症の狭窄部には神経細胞は欠如しVIP神経も同時に欠如する。このラットは強い便秘の状態にある。これに関連してラットの結腸壁の神経を部分的に障害するとVIP神経が欠如し腸管の一部が狭窄して便秘の状態になる。(3)ハムスターにデキストランを投与して急性潰瘍性炎症を作成したが、その腸管壁は高度の炎症性変化と部分的ではあるが腸管壁全層にわたる病変が発生する。この部の神経叢は欠如し、ガラニン神経も観察されない。(4)ラットに作成した虚血性腸炎においてその患部に壊死性の病変が発生するが、極く一部の変化であり、神経ペプチドの大きな変動は現在のところ観察していない。(5)今後は試獣の成績を更に追試確認する。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Shinya Kishimoto: Hiroshima J.Med.Sci.33. 369-376 (1984)
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[Publications] Shinya Kishimoto: Peptides. 4. 451-456 (1984)
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[Publications] Shinya Kishimoto: Front.Horm.Res.12. 148-152 (1984)
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[Publications] Shinya Kishimoto: Hiroshima J.Med.Sci.34. 155-160 (1985)
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[Publications] Shinya Kishimoto: Hiroshima J.Med.Sci.35. 419-424 (1986)
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[Publications] Shinya Kishimoto: Cand.J.Physiol.Pharmacol.156 (1986)
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[Publications] 岸本真也: "消化性潰瘍治療学" 松岡光明, 16 (1986)
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[Publications] 岸本真也: "Annaial Review消化器1987" 青木三千雄, 18 (1987)