1986 Fiscal Year Annual Research Report
ESR法を用いた培養肝細胞における胆汁酸の活性酸素ラジカル生成に関する研究
Project/Area Number |
61570350
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
中嶋 俊彰 京府医大, 医学部, 助手 (00150574)
|
Keywords | 胆汁酸 / ESRスピンラベル法 / ラット肝細胞小器官膜 / 閉塞性黄疸 / 膜脂質流動性 |
Research Abstract |
ESRのスペクトル解析の基礎的検討として、ステアリン酸スピンラベル(5-DSL)を用いて、胆汁酸が肝細胞小器官膜に及ぼす影響を検討し、胆管結紮(閉塞性黄疸)時の変化と比較した。実験系:正常および胆管結紮ラット肝からHogeboom法によりミクロソーム(Micro.)およびミトコンドリア(Mit.)分画を分離し、正常ラット肝より得たMicro.に対して5mMの各種胆汁酸を添加した。これらの試料に対し、5-DSAでスピンラベルしたのちESR装置を用いて測定し、得られたスペクトルよりorder parameter(S)を算出し膜脂質流動性を比較した。成績:胆管結紮ラットから得たMicro.およびMit.におけるSは、それぞれ0.634,0.642で正常肝における0.624,0.640よりも高値であり、閉塞性黄疸(胆管結紮)時には肝細胞小器官膜の脂質流動性が低下した。胆汁酸添加時のSは、無添加時の0.624に対し、CA0.631,DCA0.634,CDCA0.641,UDCA0.639,LCA0.637,TCA0.621,GCA0.617,β-MCA0.614であり、非抱合型胆汁酸では膜流動性が低下したが、抱合型CAやβ-MCA(ラット)では上昇する傾向があった。したがって、閉塞性黄疸時には膜脂質流動性が低下するが、この時増加すると考えられる抱合型CAやβ-MCA添加時には流動性が上昇することにより考えて、閉塞性黄疸肝の膜脂質流動性の変化には胆汁酸以外の因子の関与が推測される。一方、培養肝細胞の調整は充分なviabilityが得られたが、長期の培養については厳重な清潔操作が必要であり、今後の検討が必要である。活性酸素ラジカルのtrapにつき、現在検討中である。
|