1986 Fiscal Year Annual Research Report
人グルタミン合成酵素の各種脳疾患における意義と酵素免疫アッセイ法の確立
Project/Area Number |
61570380
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今野 秀彦 東北大, 医学部, 助手 (10091688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 裕高 日本化薬株式会社, 研究員
岩崎 祐三 東北大学, 医学部, 教授 (00142927)
山本 悌司 東北大学, 医学部, 助教授 (10106487)
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Keywords | グルタミン合成酵素 / アルツハイマー【II】型グリア / 星状膠細胞 |
Research Abstract |
アミノ酸神経伝達物質の前駆物質であるグルタミンの合成酵素(GS)が星状膠細胞内に特異的に存在することが明らかにされ、またこの酵素が脳内アンモニア代謝の大部分を担うことも示されたことから、この星状膠細胞が脳の機能の面でも重要な役割を演じていると考えられるようになった。同時に又、このGSを星状膠細胞の同定酵素として利用する試みもなされて来ている。しかし、これらの結果は実験動物に限られたものであり、ヒト脳では未だ確認されていない。我々の一人(山本裕高)は羊とヒトの脳からそれぞれのGSの精製に成功したが、それらを比較してみると、ヒト脳GSのactivityは、Mnイオン存在下では、羊GSのそれに比べて低く、又ADP濃度の上昇によって生じるactivityの抑制が羊脳GS程強く行われることがないなどの違いのあることが明らかにされた。又免疫反応性においては、ヒト脳GSは、羊、ラットのGSとの交差反応を示すものの免疫学的に全く同じというものではなかった。このヒト脳GSを抗原としてウサギに免疫して作製した抗体で、剖検時に採取したヒト脳組織について免疫染色を施してみると、あきらかに星状膠細胞の胞体とその突起に陽性所見が示された。しかしその他にも神経細胞の核膜や乏突起膠細胞の胞体に陽性所見が認められた。これらの結果は、GSが脳の星状膠細胞に特異的に在存するとされてきた報告とは異なるものであり、今後この点についても明らかにしなければならない。今回得られたGSに対する抗体を使用し、ヒト脳において特に星状膠細胞に障害を来す肝脳疾患或は肝性昏睡等にみられるアルツハイマー【II】型グリアの病態或はグリオーマでの腫瘍細胞の分化過程、更には脳組織損傷時に出現する反応性星状膠細胞の発性機序等について検討する予定である。次に、血中及び髄液中のGSの酵素免疫アッセイ系の完成を目標としたい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hirotaka Yamamoto;Hidehiko Konno;Teiji Yamamoto;Michinao Mizugaki;Yuzo Iwasaki: J.Neurochemistrory.
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[Publications] Hirotaka Yamamoto;Teiji Yamamoto;Hidehiko Konno;Fumiaki Tezuka;Yuzo Iwasaki: J.Neurological Sciences. 77. 1-10 (1987)