1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570381
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塚本 哲朗 東北大, 医学部, 助手 (20171978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高瀬 貞夫 東北大学, 医学部, 助教授 (60004983)
関沢 剛 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (50150264)
義江 修 東北大学, 医学部, 助手 (10166910)
岩崎 祐三 東北大学, 医学部, 教授 (00142927)
平野 紀夫 岩手大学, 農学部, 助教授 (40092308)
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Keywords | コロナウイルス / vacuolar degeneraition / 脳炎モデル |
Research Abstract |
MHV-JHM持続感染細胞株より得られた変異株であるJHMCCウイルスを用いてマウスのコロナウイルスによる脱髄モデルの実験を行なった。まず4週齢のICRマウスの脳内にJHMCCを【10^6】PFU接種し、3日,7日,14日後還流固定を行ない、病理学的変化を調べた。一方接種後毎日脳と脊髄を取り出し、ウイルス量を測定した。病理学的所見では7日目より髄膜の細胞浸潤,小血管周囲の細胞浸潤,neuronal necrosis,neuronophagia,glial noduleが散見されるとともに、橋,脊髄白質に強いvacuolar changeが見られるようになった。このvacuolar changeは14日後さらに広がり、空胞の数と大きさも増大した。髄鞘染色よりこの変化は脱髄によるものではないことが明らかとなった。一方ウイルス量は脳,脊髄とも3〜4日目にピークに達し(【10^6】PFU/0.2g),以後漸減していき、14日以降は検出されなくなった。次にJHMに対する抗血清を用いてABC法による免疫組織学的検索を行なうと、すでに3日後には大脳,小脳,脳幹の神経細胞に広汎にウイルス抗原が証明された。7日目には脊髄の大型,小型神経細胞にも見出されてきたが、14日以降では病変の進行とは裏腹に抗原の染色性は減少していった。臨床病状では14日目までほとんど症状はなく、30日後に約20%のマウスに後肢麻痺が見られたが、死亡することはなかった。次に経鼻感染を行なったが、病変の進行がやゝ遅くなるものの基本的には脳内接種と同一の病変をおこし得ることがわかった。以上よりコロナウイルスによる長期の脳内感染モデルができたが、病変は脱髄ではなく、vacuolar changeを主体とするもので、これはエイズ,あるいはHTLV-1 associated myelopathy(HAM)にみられる脊髄病変に酷似するものであり、興味が持たれた。今後、電顕で微細構造の変化を追求するとともに、マウスのstrainをかえて同様の実験を遂行していく。
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[Publications] Tetsuro Tsukamoto: Journal of the Neurological Sciences. 75. 353-361 (1986)
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[Publications] Tetsuro Tsukamoto: Archives of Neurology. in press.
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[Publications] Norio Hirano: Japan.J.Vet.Sci. 47. 679-681 (1985)
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[Publications] Norio Hirano: Arch Virol. 88. 121-125 (1986)
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[Publications] Tetsuro Tsukamoto: in preparation.
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[Publications] Norio Hirano: Japan J.Vet.Sci. 48. 423-427 (1986)