1986 Fiscal Year Annual Research Report
脳腱黄色腫症におけるステロール代謝異常と神経症状発現機作に関する研究
Project/Area Number |
61570388
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Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
三木 均 香川医大, 医学部, 講師 (50157468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋渡 敦夫 香川医科大学, 医学部, 助教授 (40116091)
竹内 博明 香川医科大学, 医学部, 助教授 (40112049)
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Keywords | 脳腱黄色腫症 / コレスタノール / ケノデオキシコール酸 / HMG-CoA還元酵素 / 7α-水酸化酵素 / シトクロムP-450 / 胆汁酸合成 / ステロール代謝 |
Research Abstract |
脳腱黄色腫症(CTX)ではステロールの代謝障害、とくに胆汁酸の合成障害が存在する。我々はこれが、肝ミトコンドリアのシトクロムP-【450_(527)】の欠損によるものであることを最初に報告した。一方、本症でのコレスタノールの増加メカニズムは依然として完全には解明されていない。また、治療についても、ケノデオキシコール酸(CDCA)の投与が行われているが、その作用機序についても不明な点が多い。本症ではまた、コレステロール合成も亢進しており、その律速酵素であるHMG-CoA reductaseに対する阻害剤であるCS-514(CS)の投与が効果を有する可能性がある。今回これらの点を明かにすべく、CTX3例にCDCA及びCSを投与して種々の検討を行った。CDCA投与により、3症例とも血中コレスタノール値の低下を示した。ついで、そのうちの2例にCSを単独投与したところ、血中コレスタノールは再び治療前のレベルへ上昇した。他の1例にはCDCAにCSの併用を行ったところ、血中コレスタノールはさらに低下した。つぎに胆汁中の胆汁酸組成は、治療前にはCDCAの著減とコール酸の相対的な増加が特徴的であったが、CS単独投与では変化がみられず、CDCA投与ではCDCAの著増とコール酸の消失を認めた。以上より、CDCA投与は本症に対し効果を有し、その作用機序として、コレステロールから胆汁酸への代謝過程の律速酵素である7α-水酸化酵素を阻害することが考えられた。一方CS単独投与によるHMG-CoA reductaseの抑制のみでは本症を改善しえないことが明かとなった。しかし、CDCAと併用することにより、その効果を増強させる可能性があり、今後新しい治療法として注目する必要がある。本症でのコレスタノールの増加は7α-水酸化酵素活性の亢進によりコレステロールから胆汁酸への中間代謝特がうっ滞することにより、7α-コレステロールを経て、コレスタノールが合成されることによると考えられた。
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[Publications] 三木均: 脂質生化学研究. 27. 291-294 (1985)
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[Publications] 中村正: 動脈硬化. 13. 599-603 (1985)
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[Publications] 三木均: 日本臨床代謝学会記録. 【XXIII】. 150-151 (1986)
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[Publications] Miki.H.: Clin Chim Acta. 160. 255-263 (1986)
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[Publications] 竹内博明: 臨床脳波. (1987)
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[Publications] 三木均: 日本臨床代謝学会記録. 【XXIV】. (1987)